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慢性的な痛みが不眠を生じさせる理由

睡眠障害は、大きくの種類があります。
その中で、最も多いのが不眠症です。

そこで、本記事では、慢性的な痛みが不眠を生じさせる理由をみていきましょう。

まずは、不眠症の種類と原因を整理していきます。

不眠症の種類

①入眠困難

夜なかなか寝付けず眠るまでに30分~1時間以上かかる

②中途覚醒

夜中、何度も目が覚め、その後なかなか眠れない

③早期覚醒

目覚める時間が早くなりその後なかなか眠れない

④熟眠障害

眠ったはずなのに、ぐっすり眠った満足感がない

不眠症の原因

・慢性的な不安や緊張のストレス
・薬剤の副作用
・慢性的な痛み
・呼吸困難
・尿路系の刺激などの身体疾患
・うつなどの精神疾患
・アルツハイマー型認知症、パーキンソン病などの神経疾患
・脳血管疾患
など

不眠症の原因は、上記のように様々です。
ここから、本題である慢性的な痛みが不眠を招く理由についてみていきましょう。

まずは、痛みの種類を確認しましょう。

痛みの種類

①急性の痛み(急性痛)

・組織の損傷に伴う痛み
・損傷組織が治ってくると痛みが軽減
・損傷組織の通常の治癒期間を超えて痛まない(3か月以内)
・生体の警告信号の役割がある

②慢性的な痛み(慢性痛)

・組織損傷後やきっかけが不明な痛み
・弱い刺激でも、痛みが強いことがある
・損傷組織の通常の治癒期間を超えて痛む(概ね3か月以上)
・痛みを病気として捉える

この慢性的な痛みが不眠を招きます。
次は、慢性的な痛みが不眠を招く理由をみていきましょう。

慢性的な痛みが不眠を招く2つの理由

慢性的な痛みによる不眠には、
①交感神経の興奮
②歩く量の低下

が関与しています。

①交感神経系の興奮

交感神経系と副交感神経系とは互いに拮抗的に働きます。

慢性的な痛みがあると、交感神経の働きが優位になるため、副交感神経系は抑制された状態です。眠るためには、副交感神経が優位になる必要があります。要するに、慢性的な痛みによる交感神経の活動が不眠の原因になります。

一方で、不眠が慢性的な痛みを引き起こします。慢性的な痛みは、不安や恐怖などの心因的な要素が色濃く表出しています。不眠になると、不安などの感情のコントロールが出来なくなります。よって、不眠による感情の不安定さが慢性的な痛みを誘発することに繋がります。

これらの相互関係により、不眠と慢性的な痛みの悪循環が出来上がってしまいます。
この悪循環から脱却することが、不眠と慢性的な痛みを改善するために重要になります。

②歩く量の低下

痛みにより、歩く量が低下することがよくあります。
この歩く量の低下が、不眠と慢性的な痛みを助長してしまいます。

本来であれば、下記の図のように、歩きなどのリズム運動で、夜のメラトニンを増加し、睡眠を促してくれます。

不眠と歩く量
本来であれば、下記の図のように、歩きなどのリズム運動で、夜のメラトニンを増加し、睡眠を促してくれます。

しかし、歩く量が減り、セロトニンが低下すると夜のメラトニンを増やすことができません。
結果、不眠になります。

慢性的な痛みと歩く量
歩くことは、痛み軽減効果があると言われています。
人間の身体には、痛みを軽減させる神経機構が備わっています。
歩きには、この神経機構の働きを活発にさせる効果があります。

つまり、歩かないとこの神経機構を使えないため、痛みを感じやすくなります。

また、歩きは、気分改善の効果もあります。つまり、慢性的なストレスや不安による痛みを改善する働きもあります。

痛みによる歩く量の低下は、不眠、痛みの増強に直結します。

慢性的な痛みがあるときも、できる範囲で歩くことが重要です。
ただ、痛みがある状態で歩くのは、大変です。痛みのでない運動から開始したり、痛み止めで痛みのコントロールをしたり無理ない範囲で運動することが大切です。

まとめ

・睡眠障害の種類は様々であるが、不眠が多い。
・不眠の原因の1つに、慢性的な痛みがあります。
・慢性的な痛みが不眠を招く理由は、①交感神経の興奮、②歩く量の低下があります。

今回は、慢性的な痛みが不眠を招く理由について書きました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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