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ストレスで睡眠が阻害されるのは、なぜ?その後どうなるの?

今回は、ストレスで睡眠が阻害されるのは、なぜ?その後どうなるの?というテーマでまとめていきます。

下記の文献をベースにまとめていきます。

文献紹介

タイトル

The impact of stress on sleep: Pathogenic sleep reactivity as a vulnerability to insomnia and circadian disorders

著者

David A Kalmbach

ストレス耐性はヒトにより異なる?

ある研究では、2人の仕事を解雇された元従業員の睡眠状況を確かめた。
2人の元従業員は、おそらく同様の心理社会的背景、ストレス要因の強さ、認知反応がありますが、夜間の睡眠状況は異なりました。
1人は夜間の入眠と睡眠維持に著しい困難を感じるようになります。
これに対して、もう1人は、軽度の睡眠障害が2回ほどで、全体としてはよく眠り続けている。
このように、同じような状況でもヒトにより夜間の睡眠に与える影響は異なるのです。

ストレスで眠れなくなるのは異常なのか?

個人がストレスに対して急性睡眠障害をどの程度示すかを睡眠反応性とよんでいます。

この睡眠反応性は正常な現象です。
なぜなら、すべての人は、ある程度の睡眠障害を経験するからです。

例えば、

不慣れな睡眠環境、わずかな概日リズムの変化、タイミングの悪い刺激物(コーヒーやアルコール)などで、多くの人に一過性の睡眠障害をもたらします

(Bonnet & Arand, 2003)

このストレスに対して生じる睡眠の問題は個人差が大きいことが知られています。

高反応性睡眠者はストレスを受けると睡眠が急激に悪化するが、低睡眠反応性睡眠者はストレスを受けてもほとんど平穏に過ごすことができます。

このように、ストレスによって睡眠に問題が生じることは自然な現象です、
そして、このストレスが睡眠に与える影響は個人差が大きいのです。

ストレスでなぜ、眠れなくなるのか?

ストレス関連の睡眠障害では、自律神経系の問題である可能性が高いことが示された。
具体的には、副交感神経の活動低下が不眠を招くことが示された。

Bonnet and Arand (2003)

ストレスにより睡眠のどんな問題が生じるのか?

高睡眠反応者(ストレスで睡眠障害が起こりやすい人)と低睡眠反応者の比較では、

・睡眠効率(実際の睡眠時間/ベッドにいた時間)
高睡眠反応者 低い       低睡眠反応者 高い
・睡眠潜時(眠るまでの時間)
高睡眠反応者 長い       低睡眠反応者 短い

(Drake et al.、2004)

つまり、眠ろうと思いベッドや布団に横になるが、眠れない人が多いということです。

仕事のストレスがどのように影響するのか?

ストレスと一言で言っても、多岐にわたります。睡眠とストレスの研究においては、非社会的ストレス要因(初夜効果、位相前進、覚せい剤投与など)を用いた実験室研究から得られたものでした。

ここでは、自然に発生する業務のストレスが睡眠にどのような影響を与えるかを紹介します。

高反応性睡眠者は、低反応性睡眠者に比べて、

ストレスに反応して
REM睡眠時間が減少
(低ストレス→高ストレス、119→92分)
夜間覚醒(特にREM時)の増加

を示した(Riemannら、2012)。

一時的なストレスで睡眠に問題が生じる人の予後

1449人の快眠者のサンプルにおいて、睡眠反応性が高い(ストレスで睡眠が障害される)人は、低い人に比べて、不眠症状を発症する確率が60%近く高く、その後2年間に慢性不眠症を発症する確率が2倍高いことを明らかにしました。
重要なことは、病前睡眠反応性と不眠症リスクの関係は、睡眠歴、抑うつ症状、ストレス曝露・影響とは無関係であったことである。

Jarrinら, 2014

つまり、一時的なストレスで睡眠障害を生じやすい人は、将来的に慢性不眠症になる可能性が高いということです。

まとめ

同じ環境でも、ストレスにより、睡眠障害を抱えやすい人とそうでない人がいます。
一時的に眠れなくなるのは、通常の反応ではあります。
その原因は、副交感神経の活動低下です。
リラックスする神経が活動しないことで、睡眠が阻害されるのです。
ストレスにより睡眠障害を抱えやすい人は、そうでない人に比べ、2年後の慢性不眠症の発症リスクが2倍も高くなります。

慢性不眠症にならないためには、自身が眠れなくなった原因を分析することが重要です。不眠になる原因は、ヒトに異なり、仕事関係や食生活など様々です。
分析した結果に対して、アプローチすることが大切です。

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