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【変わらない】ハクモクレン

近所にハクモクレンの並木があります。
2週間近く前に見に行ったときには、真っ白な花が枝いっぱいについて、見事な景観でした。

私は、お花の中の写真を撮りたかったのですが、
まだ開花したばかりで、中心部分の花びらは、雄しべと雌しべを守るように、しっかりと閉じられていました。
しっとりとしたその花びらにそっと触れると、とても強い力で、簡単には開きそうにありませんでした。

もっと花が開いたら見に行こう。
と思ったものの、なかなか機会がなく、やっと今日見に行ってみると、花はすっかり散ってしまっていました。

あぁ、遅かったか……と思いましたが、日陰になる場所の数本の木に、まだ花が残っていました。

ハクモクレンの花の中を撮りたかったのは、
この特徴的な雄しべと雌しべのことを書きたいな……と思ったからです。

植物は、藻類(←現在は植物に分類されていませんが)のような形から、胞子植物、裸子植物、被子植物へと進化してきたといわれますが、
最初の被子植物の、原始的な形が最も残っているのが、このモクレン科の植物といわれます。

花びらや雄しべ、雌しべはもともとは、葉っぱから進化したもので、
ハクモクレンの雄しべや雌しべには、その、葉っぱだった頃の名残がみられるというのです。
雄しべも雌しべもたくさんあり、まるで枝に葉がつくように、螺旋状に配置されています(参考:『身近な植物から花の進化を考える』小林正明著)。

ぼってりと厚い花びら、原始的な雰囲気が残る雄しべと雌しべ、決して洗練されてはいないのですが、
どこか安心できるような、温かみを感じます。

太古の昔から変わらぬ姿のまま、代々生き抜いてきた、ハクモクレンのお花。
周りに合わせて進化を遂げたお花もある中、頑なに昔の姿を保ち続けている理由は何なのでしょう。

変わっていく賢さもあれば、変わらない強さもありますよね。

ハクモクレンは、これからも、何百年でも、何千年でも、ずっとこのままの姿でいてくれるような気がします。


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