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江戸中期から伝わる「皮なめし」をイノシシでやってみた ④雨の日のぬか喜び

今日は一日雨である。実は我が大三島、去年の夏以降わりと切羽つまった水不足で、そろそろ取水制限が発動されそうなんだ。だから雨はありがたいんだけど・・・。

最近は「皮が無事かな」って気になっちゃうんだよね。水流が激しくなって彼らが押し流されちゃってるんじゃないかと、ハラハラしっぱなしだ。恋かな?

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本当は優雅に、最近島内にできたレストラン&バーでランチしてたんですが・・・。軽自動車には、ゴム長靴とワークマンの軍手を突っ込んでましたよ。会計もそこそこに山へ直行。別件の原稿締め切り日でもあったんだけど、見に行かないわけにはいかない。

このシリーズは、ある狩猟雑誌の取材をかねてチャレンジしています。プロのアドバイスも交えて手順をまとめた記事は、誌面で公開されます。(3月には告知ができると思いますので、お楽しみに!)

川漬け4日目 思ったより毛が抜けない!

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いたー、大丈夫だった! 水が入って、どんどん皮が柔らかくなっているのか、ひらひら度合に加速がかかっている。

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しかし、新しいほうの皮が全然毛が抜けない! ガードがゆるい首まわりを10本ぐらいつまんでもビクともしない。

革王オーガキさんに状況を報告すると、「もしかしたらあと10日ぐらいかかるかもね」とのこと。うぎゃー! それじゃあ原稿の校了に間に合わないじゃないか!! でも仕方ないよね、相手は自然だもの。

中国のえらーい哲学者・孔子さんは「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」って言ってたけど、「川漬け4日目にして停滞を知る」ですよ。

増水のせいか、砂がたまって浅くなった川底を、長靴でほじほじして家路につく。

ねろねろの正体が判明

きのう気になっていた、毛の下にある「ねろねろ」した物質は何だったんだろう?

↓ 前回の記事 ↓

オーガキさんに聞いてみると、「もしかしたら"銀面のハク"が飛んでるのかも」とのこと。

え、それってナンの通り名? "哭きのリュウ"、それとも"千と千尋のハク"? そういやアイツも川の精でしたっけ??

ぜんぶ不正解。

ざっくり説明すると、「銀面」とは人間の”真皮”(上から2枚目の皮)と同じで、肌の本丸みたいなところ。どうやら皮なめしは、この銀面の状態がめちゃくちゃ大事らしい。そして「ハク」とは銀面の上を覆っている薄皮。人間の表皮だと思っていい。

ハクには、銀面をコーティングしてツヤを出す効果があるらしい。

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というわけで、ねろねろ=ハクが部分的にはがれた古い皮は、仕上がりもまだらになるかもしれないのだ。

和太鼓の革で知る、ぬか喜び

「それはそれでいい実験だから問題ないっすよ~。すでに皮も白っぽくなっててイイ感じですし」とタカをくくっているわたしに、革王はニヤリと笑って言った。(←電話越しなので、あくまで想像)

「ああ、アレ? 乾いたら茶色になるで」

え!? この色のままいかないの??

革王によると、いま水を含んで白くなっている皮も、乾くと茶色くなるそうだ。和太鼓の皮がその典型で、なめしに入る前の乾燥させた状態(乾皮)で使うから「あめ色」になるんだとか。

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がびーん! 知らなかった。もう白いから安泰だと思ってた(泣)

ぬか喜びじゃったぁぁぁ!!!

「まぁ、うまくいってると思うで」と革王がなぐさめてくれたので、好意的に受け取って、明日からも希望を捨てずにがんばることにします。

毎回、本当に知らないことばっかりだ。

皮なめし道は、はじまったばかり!


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