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佳野
2022年10月4日 00:19
カランと瓶ラムネの揺れる音がする。私と美夜子は今はもう使われていない廃れたバス停で暮れていくオレンジ色の空を眺めていた。「駆け落ちって言うから何かと思えば…。」「二人きりだから駆け落ちでしょ?」一台の車がヘッドライトを光らせながら通り過ぎて行った。気づけば夕焼けはすっかり沈んで、遠くの方からは微かに祭囃子の音が聞こえてくる。「あのさ、私は春の事好きだよ?」先程クラスメイトが言っ
2022年9月29日 17:06
あの日もこんな風に茹だるような夏だった。蝉がジージーと懸命に命を輝かせていた。「南さんさ、正直やめた方がいいと思うよ?」放課後、話したこともないようなクラスメイトが言い放ったのはそんな言葉だった。「急に何。」「クラスでは全然話したりしないくせに2組の須和さんとはよく一緒にいるじゃん?須和さん優しいから言わないだけで迷惑だと思うよ、南さんに付きまとわれるの。」(あぁ、そういう事か。)