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野口聡一『どう生きるか つらかったときの話をしよう』一言感想文

この本では同じ主張が何度も繰り返されている。その一つが、「評価軸を自分に取り戻す」ことである。それは、筆者が他者の評価を軸にしていた経験から辿り着いた考えである。筆者の主張はどれも決して目新しいものではない。これまでの自己啓発本が繰り返し語ってきたことと大きく異なるわけではない。それでも、この本の言葉には独自の力がある。それこそが、野口聡一という稀有な体験をした宇宙飛行士が語った言葉の妙である。この本は啓発書である前に、告白の記録である。宇宙を舞台に活躍した時の人が辿った苦しみの記録である。彼がまさかこんな苦しみを辿っているとは思いも寄らなかった。そしてまた、このような考えに行きつき、このような文を綴ることになったことに驚いた。自己啓発本の体裁を取っていながらも、その端々に見えるエピソードは生々しく、結論よりもその過程におもしろみがあると言ってもいいだろう。


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