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「南国少年パプワくん」の魅力

久しぶりに、柴田亜美先生「南国少年パプワくん」を読みたくなって、kindleで大人買いしました。

「南国少年パプワくん」とは?

『南国少年パプワくん』(なんごくしょうねんパプワくん)は、柴田亜美による日本の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。『月刊少年ガンガン』(エニックス)において、1991年4月号から1995年6月号まで連載された。全56話、単行本は全7巻、新装版全7巻。また、続編として『PAPUWA』がある。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

いやはや、懐かしいですね。

当時は「月刊少年ガンガン」の牽引役の一つとして、大人気だった作品です。

「月刊少年ガンガン」といえば、エニックスが出している雑誌ということもあって、ファンタジーもので有名だった雑誌。

最近新シリーズが終わりましたが、『ロトの紋章』の初代が全盛期だったころ。

他にも、『ハーメルンのバイオリン弾き』や『魔法陣グルグル』がアニメ化され、ゲームやCDも出されました。

後には、『鋼の錬金術師』が大人気になったのも、ガンガンですね。

ガンガンの作品は、ファンタジーテイストの中に、シリアス要素とギャグ要素が混在しているのが魅力でした。

少年誌らしい健全さと、通好みのギャグが見事に融合していたと思います。

そんな中の代表作の一つが、「南国少年パプワくん」だったのです。

「南国少年パプワくん」との出会い

私が最初に「南国少年パプワくん」と出会ったのは、アニメだったと思います。

アニメだけだと、なんとなくシリアス:ギャグ=1:9くらいだったので、ギャグアニメのイメージでした。

もちろん、おもしろかったのですが、なんとなくエンディングが腑に落ちない感じでした。

その後、『魔法陣グルグル』にドハマりした私は、「月間少年ガンガン」を読むようになり、そこでパプワくんに再会することになります。

ところが、その時のパプワくんはは、まさにクライマックス。シリアス:ギャグ=9:1になっていたので、我が目を疑ったのを覚えています。

そして、原作の持つ、絵の力、セリフの力に圧倒されたのです。

また、アニメは原作の全てを放映するわけではないという、アニメ界の真実を知ることになるのです。

魅力1 個性的すぎる登場人物

パプワくんの魅力は、何といっても個性的な登場人物です。

主なレギュラーメンバーは、パプワ島に暮らす唯一の「ヒト」であるパプワくん、犬のチャッピー、そこに流れ着いたシンタロー

三者の関係性が段々と変わっていく様子が、とても楽しい。

三者の関係性の変化が、コマ割りやギャグのキャッチボールによって、巧みに表現されています。

ただ、ここで紹介したいのは、その他のキャラクター達です。

カタツムリのイトウくん、タイのタンノくん、ニワトリのクボタくん、ミミズのシミズくん、といった、人語を介するパプワ島の「友達」達が、なんとも魅力的。

それぞれが、友人として、囃し手として、被害者として、時には食料として(笑)、登場します。

何とも素直な友人達は、まっすぐにシンタローと向き合います。

彼らを見ていると、おおらかな気持ちになってきます。

小さいことに、くよくよなんかしていられない、と思わせてくれる。

彼らの多くは、自分の人生、生き方をちゃんと受け止めているように感じるのです。

一方で忘れてはならないのが、シンタローを追ってくる「ガンマ団」の皆さん

ミヤギ、トットリ、アラシヤマ、等々。

いや、地名じゃないんです。人物名です(笑)

登場当時は、出オチだと思っていたのに、後半に従って魅力あふれる人物として描かれていきます。

物語の中でチョイ役だと思っていたキャラが、後半でしっかり活きてきたりするから、すごいです。

そう、とんでもなくキャラが多いのに、モブがいないのです。だから、どのキャラにも愛着が沸いてしまいます

魅力2 ウィットに富みすぎたギャグ

この作品のギャグは、マニアックです。

少年漫画ですが、私は少年だった時に理解できないギャグが多かったです。

例えば、こんなセリフ。

イトウくん「ぐっもーにん♡ パプワ君♡」

パプワくん「おお! イトウ君!」

イトウくん「今朝も 高知は室戸市名物 シットロト踊りが 絶好調ね♡」

パプワくん「はっはっはっ 北欧風に アレンジして みたんだけどネ」

…………わからない。何がおもしろいのか、わからない

穢れなき少年少女は、どう受けとめれば良いのでしょうか

でも、これが病みつきで、今でもその一つひとつを思い出せるほど。

そもそも「ウィット」という言葉と初めて出会ったのも、パプワくんだったかもしれない……。

慣れてくると、何とも快感なんですよね。これもまた、柴田ワールドのなせる業だと思います。

***この先、少しネタバレあります***

魅力3 毎回が印象に残ってしまう前半

さて、いよいよストーリーに参ります。

前半は、第1話~第34話とします。

「序・破・急」「序」の部分です。

物語は、謎の南国の島、パプワ島シンタローが漂着する所から始まります。

シンタローは、凶悪な殺人集団「ガンマ団」のエリートです。

ガンマ団が大事にしている「秘石」を持ち出し、追われる中で、パプワ島に来たのです。

そこで出会ったのは、島の唯一の「ヒト」パプワくんと、チャッピー愉快な友だちの皆さん。

前半の魅力は、一話毎に表れる独創的なキャラクターと、それに対処するシンタロー達のウィットに富んだやり取りです。

登場するキャラクターを大きく分けると、パプワ島の友だちと、ガンマ団の刺客がいます。

それぞれが、おもいもよらない生態や、特技を持って、私たちを楽しませます。

そんな中、ガンマ団の総帥の出現とともに、ストーリーは変化していきます。

そして、第34話では、シンタローはパプワ島を離れることになります。

そこに至るまでの感動ポイントが多いのも、魅力です。

なお、アニメ版はここまでが描かれます。

魅力4 シリアスとギャグで高まる中盤

第35話~第43話中盤とします。

ここからが、「序・破・急」「破」にあたります。

シンタローの死という驚きの展開が、いともあっさり描かれた後、物語は急展開を迎えます。

死んだシンタローは、ガンマ団の親戚一同と、パプワ島に戻ります。

そこで、自分の正体に気付いていくのが、主なストーリーです。

そんな一見シリアスな展開にあっても、ギャグ要素は忘れません。

シンタローの親戚、すなわち「青の一族」の皆さんの人間関係を整理しておくのに、ぴったりな場面です。

ここでしっかり整理しておかないと、後半でついていけなくなります

これまでモブだと思われていたキャラクターが、重要になってくるのもこのあたりです。

一見単調に見えた前半の、単発ゲストに思えたキャラクター達が、じわじわといい味出してきます。

魅力5 急展開すぎるシリアス展開の中で、感動あふれる後半

第44話~最終話を、後半とします。

「序・破・急」「急」です。まさに、急展開です。

復活したシンタローですが、いろいろな所で、更なる新事実が発覚します。

一話一コマをしっかり読んでいかないと、ついていけなくなります

それら全てを理解したとき、読者は「青の一族」の悲劇に気づいていきます。

そしてなお、そこからあがき、乗り越えようとする登場人物達

ここまでくると、毎話涙なしには読めなくなります

また、この感動が、どんどん高まって、最終話で極限に達します

もう、ですよ。

ネタバレしてしまうと魅力が半減なので書けませんが、読んだ方はおわかりいただけるはずです。

アニメしか観たことがない方も、ぜひ最後までお読みいただきたい

以上、あくまで概要ですが、説明させていただきました。

とにかく、ご覧ください!


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