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本当に大事な職業こそ、労働者に力を

モノプソニー(monopsony)とは、労働者を雇う会社の力が、労働者よりも強くなりすぎている状態を指すらしい。(経済学的にはもう少しいろいろな意味があるみたいだが、ここではこの定義で進める)

モノプソニーな状態にある会社では、労働者の労働環境は良いとはいえない。労働者は会社の言うがままになり、経営に不可解な点があっても発言権がない。

労働者の段階では、何をすべきなのか、より適切な方法、正しい行いがわかっていても、会社がそれを取り入れることは少なく、反映されない。

そのような背景から、結果的に会社が保守的になり、あるいは見当違いな経営を行ってしまう。労働者は、誤りに気づいていながらも、何もできないのだ。

このようなモノプソニーな状態にある会社は、エッセンシャルワーク、すなわち生活に必須な業種の仕事に多いと思う。

医療、福祉、教育等が代表格だ。病院や、施設や、学校で働く労働者達は、現場の不都合に気づき、多くの場合改善方法を持っている。しかし、モノプソニーな状態にあるから、その意見が経営に反映されない。

そしてまた、従来の慣習が見直されることなく続けられ、経営の上でも、労務環境の上でも、改善がなされない。

このように、エッセンシャルワークがモノプソニーな状態にあることに自覚的にならない限り、状態は改善しにくいと思う。

本来もっとも生産的(目的を効率的に遂行できるという意味で)でなければならない業種において、会社(ないし役員、管理職)が圧倒的な力を持つことは、デメリットでしかないのだ。

これらは、社会の要請が強く、公共事業としての要素が強いこともあるのかもしれない。国が補助を出す以上は、その指針に従うべきで、その指針に従うためには、経営者が主導しなければならない。そのような構造になっているのかもしれない。

しかしながら、今、あらためてエッセンシャルワーカーがより効率的に、より適切に、より安全に働くことが求められる現代において、労働者の持つ力を強くしなければならない。

そのためにも、労働者個々が自分達に権利があたえられていることに自覚的になり、会社に従属する存在から対等な存在へと、自己認識を変える必要があると思う。

そのための法的知識を、ぜひ専門家は発信してほしい。また、会社と対等の立場として働く事例が、紹介されていけばよいと思う。

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