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傾聴のイメージと絵日記について

人の相談を受けてアドバイスする仕事をしていますが、「もっとレベルアップしてお客様に喜んでもらうために、傾聴を意識した方がいいよ。」と、家族から言われたんです。

そんな話題がきっかけとなって、定期的に開催しているお話し会の中で、「傾聴」について語り合いました。

僕がカウンセリングの際に意識しているのは、相手が体験したことや感じたことを僕の頭の中で再生すること。


日常的な会話では、よほど重要な用件でない限り、なんとなく分かったような気になっている聞き手と、分かってもらったような気がする話し手がいても、大した問題は起きないまま日常生活は滞りなく進みます。
それに、日々いろんなことを体験しながら生きているから、ひとつひとつを正確に詳細に取り扱っていたら、時間がいくらあっても足りなくなるかもしれません。

でも、何らかの悩みが積み重なって、心が重くなっていたり、気持ちがふさぎ込むような状態になっていたら、解きほぐしていく必要があります。できれば、「もう何もしたくない」と思ってしまう前に。
カウンセリングはそんな状況を乗り越える手段のひとつであり、傾聴によって解きほぐしていきます。

カウンセラーですと自己紹介すると、心が読めるんでしょ、という反応をされることがある。カウンセリングを学んでいるときに聞いた話で、実際に僕も何度か言われたことがあります。
ここでひとつお伝えしておきます。心は読めません。
人の心を読むことができないという事実に確信を持ち、読めないから聴く。分からないから、聴く。分かりたいから、聴く。それがカウンセラーです。

分かるための聴き方のイメージが、相手が体験したことや感じたことを僕の頭の中で再生できるように。
文章や会話で大切とされる、いつ、どこで、誰が、何を、といった要素を確認したり、その時にどのように感じたかを尋ねたりします。こちらが間違って受け取ってないか、ひとつひとつ確認しながら。違和感を覚えるものは、特に意識して再確認。
そのやり取りは、相手にとっては気になる出来事の再体験になり、その当時よりも客観的に捉えられる状況になっています。だから気づきが生まれる。


以前、そのプロセスを分かりやすく表現できないかと考えていたときに、子どもの夏休みの宿題からひらめきを受けました。カウンセリングの現場に似ているものが、宿題の中にあったのです。

それは、絵日記。

ある年の夏休みの終わりがけ、めんどくさいと後回しにしていた絵日記を、なんとか終わらせようと家族で頑張っていました。印象に残っている出来事を聞き出し、何があったか言い合いながら、絵を描き、日記を綴ります。
小学校低学年だった我が子が選んだ出来事は、花火大会。市内で開催された花火大会が、マンションからも少し見えるのです。同じマンションに住む小学生たちが階段に集まり、お菓子を食べたりしながら楽しそうに過ごしていました。

我が子が描いた絵は、大きな丸、星型、ハート型の花火、それを見上げる大小ふたりの人物でした。日記部分には、たくさんの花火が上がったのを友だちと見ることが楽しかったと書いています。

これって、人の会話の特徴を凝縮していると思いませんか?

花火は僕も一緒に見ていました。確かに、丸も星型もハート型も空を彩っていましたが、同時に打ち上がった瞬間はありません。どの順番だったかも覚えていません。その場にいたのは、小学生だけでも5、6人はいました。
でも、時間が経てば、その出来事の時間軸は凝縮されて前後関係があいまいになるし、印象的な人や物は覚えていてもそれ以外は背景になって認識できなくなっています。
とは言っても、忘れてしまったわけでもなく、話しているうちに思い出すこともあるし、思い出すと急に鮮やかになったりもします。

カウンセリングのプロセスは、絵日記の絵からその物語を取り戻す営み。

そう表現することができそうです。
おぼろげであいまいになった時間軸や前後関係だけでなく、絵という表現力にも左右されるので、伝えたいことと受け取ったことが最初から一致することはない、と言っても言い過ぎではないはずです。

登場人物、前後関係、言動や反応、周囲の環境、感じたこと、それらを明確にするために、ズームインで近寄ってみたり、逆に引いて全体を眺めてみたり、その繰り返しの中で物語が浮かび上がり、こちらも体験できるようになっていきます。

分かろうとする、理解できているか確認する、共有できるまで続ける、そういった心構えが土台にあって、物語を取り戻す営みが成立します。


僕にとっての「傾聴」は、こんなイメージです。

説明しようとすると、長くなってしまいました。
もっと端的に表現できるように、そして何よりも悩みを抱えた人のお役に立てるように、これからもしっかり向き合っていきたいと改めて思います。

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