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ミッキーマウスの憂鬱【読書のきろく】

舞台裏から夢の国を支えるキャストの一人になれる物語

「何かおもしろい本ありますか?」と聞かれたら、何をオススメする?

ぶらぶらとnoteを渡り歩いていた時に、そんな問いかけから始まる記事に出会いました。そこで紹介されていた数冊の中にあったのが、『ミッキーマウスの憂鬱』。どんな相手でも、とりあえずこれを紹介すると書かれていました。

著者は、松岡圭祐さん。松岡さんの作品は、以前、友人のススメで『ヒトラーの試写室』を読んだことがあります。舞台は、第二次世界大戦の前後。映画が、市民の娯楽として上映されると共に、政治的に人をコントロールするために使われていた時代。そんな時代に特撮技術が生まれ、ヒトラー、日本の技術者、戦争、タイタニックをつなぐ。
「この小説は史実から発想された」とあるけど、どこまでが史実で、どこからがフィクションか分かりませんでした。

その印象から松岡さんの名前が記憶に残り、この『ミッキーマウスの憂鬱』のタイトルも、ブックオフなどで見かけて何となく気になっていました。そんな本に紹介記事に出会ったのも、何かのご縁ですね。
文庫本で300頁未満と、短めの物語。タイトルから分かる通り舞台は誰もが知ってるあの「夢の国」で、楽しく一気に読めました。

僕は、ディズニーランドには一度だけ行ったことがあります。次男がまだベビーカーに乗っていた頃、妻の友人家族と一緒に。いくつかのアトラクションを周り、ミッキーの形のアイスを食べ、パレードを観た夢の国。
その舞台裏で繰り広げられるお話が、この作品です。

運営を支えるのは、人の力。人がたくさん集まれば、そこには喜びだけでなく、衝突や意地の張り合いがあるし、権力も生まれます。主人公の若者として物語に足を踏み入れることによって、現実が見えてきて、憤りも感じます。でも、仕方ないからと諦めたくない。彼を応援しながら、ヒーローを信じる気持ちを思い出させてくれる気がしました。

この物語も、『ヒトラーの試写室』と同じように、現実にある施設やキャラクターが登場する創作だそうです。文庫本の解説まで読むと、そんな部署は存在しないよと教えてくれます。
でも、実際に舞台裏から夢の国を支えるキャストの一人として、その仕事を体感できる。楽しい時間を与えてくれました。

読書のきろく 2021年54冊目
『ミッキーマウスの憂鬱』
#松岡圭祐
#新潮文庫

#読書のきろく2021

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