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「シェルブールの雨傘おじさん」は映画館の魅力を教えてくれた。

いや〜外出自粛のせいで映画館に行けないのツラい!
映画館大好きなんすよ。マジで。

映画館ってすごくいいですよね。

「シェルブールの雨傘おじさん」がいるから。。。

・・・・・・・

大学生の頃、映画をひたすら観ていた。
新宿のTOHOシネマズで「午前10時の映画祭」という名画の特集がやっていて、一限と二限をサボって通っていた。500円で観れるからお得だしと思って。

いつ行っても、半分くらいしか席が埋まってなくて、ほぼ老人だった。あとは自分と同じような学生がちらほら。


ある日、名画と言われる『シェルブールの雨傘』を観に行った。
(観たことない方は下の紹介動画をちょっとご覧ください)

シネマトゥデイのYoutube公式チャンネルより

その日も、いつも通りの客層で、いつも通り広々していて、ボーッとしていたら、客席までの階段をパステルカラーのおじさんが登ってきた。

その服は、まさに『シェルブールの雨傘』の予告編でヒロインが着ていた、水色のワンピースだった。しかもミニスカートだった。で、黄色い雨傘を持ち、ツバの広い帽子をかぶり、映画のヒロインそのものの姿だったが、明らかにけっこうなおじさんだった。

(画像検索してみてください)

そして彼は、あろうことか数多くの席の中で僕の隣に座った。

マジか......!!めっちゃ良い匂い!!!

動揺する間もなく、上映が始まった。

名作と言われるだけあって、『シェルブールの雨傘』はオープニングから、美しい色彩と心地よい音楽に包まれていて、僕の期待はグッと高まったが、そのときには、すでにシェルブールおじさんが鼻をすすり始めた。

え????泣くの早くない??!!?

とにかく泣くのが早かったし、そのあともだいたい泣いていた。

第一幕の最後、恋人が列車に乗って戦地に向かうシーンは、たしかに悲しいんだけど、シェルブールおじさんはハンカチで顔を押さえ、号泣していた。「絶対に結末知ってるおじさん」だったし、「涙腺ぶっ壊れおじさん」だった。

おかげで僕はまったく映画に集中できなかった。
Filmarksのレビューも一文しかかけなかった。

スクリーンショット 2020-04-14 1.33.46


ここに映画館の魅力がある。

赤の他人どころか、普段だったら怖くて近寄れない人が隣に来ることがある。全く理解できない他人と一緒に同じ映画を観る。

自分が泣かないところで他人が泣く。
自分が笑わないところで他人が笑う。
逆に、
自分と他人が一緒になって泣いたり、笑ったりすることもある。

このちょっとした怖さと、ちょっとした嬉しさが、
どっちに転ぶかわからないまま、隣り合わせになっている。

そしてそれぞれの人生の上に、その反応があると思うと、楽しくなる。

シェルブールおじさんも、きっと大好きな映画が、TOHOシネマズの大きなスクリーンで観れると聞いて、気合いを入れて来たのだろう。

そして、思い入れが強すぎて、泣いてしまったのだろう。

そう考えると、僕の貴重な映画体験を台無しにしやがってという悔しさと同じくらい、仕方ないじゃないか彼なりの思い入れがあったんだという寛容な気持ちを持てるのではないか。それはムリか。

『シェルブールの雨傘』が気になった人はこちら↓



映画館行きたいな。

コロナを乗り切ってほしいな。

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