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子供たちの「好き」から、社会に繋がる未来型教育を追求する“夢見る株式会社 重見彰則さん”

子供たちの未来の選択肢を拡げて、社会に繋げていく理想の教育を追求し、未来型教育の現実化にチャレンジをしている重見彰則さんにお話を伺いました。

** 〜 重見彰則さんプロフィール 〜**
●出身地 兵庫県神戸市、現在は大阪府堺市在住。
●活動地域 大阪を拠点に東京。中国、タイ、フィリピンなど、アジア各国。
●経歴 大学4年間でYMCAにて小学生向け野外活動ボランティアに取り組む。卒業後、コンサルティング会社へ入社。中小企業向けの再生支援に携わる中で、理想の教育を追求するため退職し、子供向けの未来型教育事業として、2012年「夢見る株式会社」を設立。
●現在の職業及び活動 夢見る株式会社 代表取締役。一過性の教育ではなく、社会に出ることを意識した教育の場にする為、学童保育事業、英会話スクール事業をスタート。大阪府主催のビジネスプランコンテストで優勝し、2014年4月ロボット教室事業として「ロボ団」を開始。2015年4月ロボット教室FC事業を展開し、2年で100教室を突破。

選択肢を広げられるような環境を作っていきたい

記者:今日はよろしくお願いします。
重見さんは、現在、子供向けの未来型教育事業を展開されていらっしゃるということなのですが、まずは、今、目指している夢やVISIONをお伺いできますか?

重見彰則さん(以下、重見 敬称略):よろしくお願いします。
目指していることとしては、二段階ありまして、まず一つ目は、自分の「好き」なことを追求していくことで、人生幸せになっていく力、それがさらに稼ぐことができる力を両方身につけられて、人生の選択肢を設けられるようにしたいですね。

親御さんがみんな「なぜ塾に通わせるのか?」と言ったら、『いい大学に入って、いい会社に就職して、安定的に稼げるようにさせたい。』ということだと思っていまして、それは、自分が死ぬ時には、子供にとって稼ぐ力をちゃんと身につけておいてもらいたい!と、皆さん思っていらっしゃるのを感じますね。

でも、今の私たちがやっている教育は、新しい教育なので、それがいきなり受験や就職に、ダイレクトに繋がるものではありません。まず必要な事は、プログラミング教育を受けた子供たちが、それを武器に進学できるとか、就職できる、起業したとか、そういう実績を作ることなんですよ。

例えば、インドだったら大学生が卒業して、 Google に就職して初任給1,000万円みたいなこともあります。これからの時代、決定的に選ばれる基準は、テクノロジーを持っている人だと思います。だからテクノロジーを持っている子供たちを輩出して、「高卒だとしても大企業に入れる」とか、「初任給が大卒より高い」というように、日本でも、優秀な学生さんである程「もっと好待遇で就職できる」ようにしたい。そうなっていけば、今までの認識を改める必要性が出てきて、「選択肢って受験だけじゃないんだな」と変わっていくと思いますね。それが事実になる訳なので。まずやりたいことはそれですね。

記者:確かに、これまでの常識的な認識では、選択肢が限られてしまいますから、変わっていくことが求められていますよね。

重見:そうなんですよね。そして二つ目は、世界でもっと勝負できるような子供たちを増やしていきたいです。やっぱり、世界と比べて競争力を持っていく事が必要だと思います。その為に目指していることは「ロボ団」(ロボット教室)から世界一を出していきたい!ということと、同時に、海外展開を広げて、世界各国でロボコンを開催し、そこの代表者を日本に呼んで、日本で世界大会をやりたい!と思っています。

世界一に向けて、2018年、初めて国際大会に出場しました。結果はボロボロだっでした。その差もよくわかりましたし、課題もよく見えました。

世界一を目指すものの、日本から世界大会に行ける子供たちというのは、ほんの一握りなので、多くの子供たちは、「世界」というものを味わえません。日本で世界大会が開催されたら、多くの子供たちが、世界の子供たちと切磋琢磨できる環境を作ることができます。そうすることで、国内だけじゃなく、少しでも、海外に目を向ける形を、増やしていきたいなと。それが、子供たちの選択肢を広げることじゃないかと思っています。

私としては、教育はすべて人生の選択肢を広げるためにやるものと思っているので、最初にお話した1つ目は、キャリアの選択肢を広げることですし、2つ目も日本だけじゃなく海外も含めた選択肢を広げることですので、それがビジョンというか、やりたいことですね。

記者:そんな子供たちがどんどん増えていくのは本当に楽しみですね!

脇役からメジャー化させていく、プログラミング教育

記者:今後の展開としてはどのような事をされていくのですか?

重見:これまで脇役だったプログラミング教育をメジャー化していきたいですね。私たちもスタートは、ロボット教室事業「ロボ団」として、フランチャイズ(FC)化をしてきました。営業マンは1人も置いていないのですが、2年間で100教室できたんですね。それを「独立型」にして増やしていこうとしています。プログラミング業界のFCは、これまで、PC教室や、塾など、既に教室を持っているところに、新しいコースの1つとして入れて行きます。だから、街中では見かけない。
その状態なら親世代は、「(脇役なら)別にやらなくてもいいよね。」となってしまいます。自分たちが学んできていないので。変化が求められている今、脇役からメジャー化していけるように、広げていきます!

せっかくこれからの社会に必要とされて、必修化されていく教育なのに、それを、教育業界の中だけで止めることなく、社会に繋げていかないと意味がないと思っています。

記者:なるほど。業界にとっても、新しいチャレンジになるのですね!

重見:こういう独立型は、今は私たちしかやっていません。そして、2018年の秋から“社会と繋がるプロジェクト”をスタートして、力を入れています。これは、本来教育は社会に出るための準備なはずなのに、学んでいる子供たちが、それをダイレクトに感じられない。子供たちも、目的意識がないと、主体的になれないし、受け身になりやすいです。吸収率や、自発性も、もちろん変わってきます。それをシンプルな言葉でいうと、子供たちの「好き」から学んで、社会に繋がっていくような教育。それができるように始めました。

第一弾は、JAXAさんと一緒にイベントをやりまして、これは教材化しましたので、今後、全国の「ロボ団」の教室や学校にも入れていきます。
(イベントの様子は)
第二弾も考えていまして、住宅メーカーや、いろんなメーカーと繋がってやっていこうとしています。これからは、なんでもITと繋がっていくので、私たちのコンテンツを組み合わせて、体験できるようなことをしていきいと思っています。

記者:次々、新しいコンテンツが創られていきそうですね。

重見:私たちは、自分たちのことを「コンテンツメーカー」と呼んでいるのですけど、強みとしては、コンテンツを作る企画開発力と、それを使いたい!っていう共感力が高いですね。あと自分でいうのもなんですけど、チョイスするセンスですかね(笑)

記者:確かに!宇宙と自分が繋がる体験ができたら、それは面白いですね。

社会に出て通用しない学校の教育

記者:ところで重見さんが、今の子供向けの教育事業を始めたきっかけは、何だったのでしょうか?

重見:社会人になって再生系のコンサルをやっていました。それがちょうど、リーマンショックの後くらいで、結構落ち込んでいる企業が多かったのですが、まずリストラや、社長の資産売却など、無駄なものを排除して、次は、売上を上げて成長していく、成長戦略に取り掛かります。
その時に、今までとは違う新しいことをやろう!ってできる人がいないんです。苦しい会社であればある程、いないんですよ。そういうマインドになってなくて...

既存のことしかできない。決められたことを決められた通りにやるっていうのは、学校と一緒なんですよ。でも、社会に出たらそれは通用しないじゃないですか。社会と繋がっていない、そういう学校になっている。それが今の現実です。
私たちの「ロボ団」では、テーマや課題は与えられますが、その解き方はプログラミングなので自由なんですよ。多様性があって考えたり、自分なりのソリューション、みんなが納得するソリューションを考えていくことが、できるようになります。

社会に出て、何が一番求められるかっていうと、そもそもどこに課題があるのか?その問いを立てるところを求められます。さらに、立てた問いに対して、どういうことがソリューションとしてできるのか?を考えないといけないんですけど、この領域をできる人が少ないって思いました。その状況に愕然としました。

「社会に出てそういうマインドが育つのかって言うと、そういうわけじゃないよな...」

子供たちが生きている世界は、学校と家とその他くらいしかないので、すごく狭いんですよ。ここの世界を広げてあげて、自分で問いを立てて、ソリューションを考えられる、それを実践できる子供たちを育てておかないと、やばいなって思いました。それで子供の時代から変えないと!と思って、子供向けになりました。

記者:本当にその能力はこれから必要ですよね。

「やらされる勉強」から「楽しく取り組む勉強」へ

記者:ちなみに重見さんは、どんな子供時代だったのですか?

重見:子供の頃は、とにかく勉強が嫌いでした。私は兄と妹がいる3人兄弟の真ん中で、子供の頃のことを親に聞くと「親のいうことを聞かない子供」だったそうです(笑)

父は教育熱心で、私が小学3年生の時、ちょうど資格を取るために、休みの日も勉強をしていました。子供たちもよく巻き込まれて「お父さんが今からこれを勉強するから、お前たちもやれ!」という感じでした。
阪神大震災の時、私の実家は神戸なので被災しました。そんな時でさえも、地震が起こって1時間後には、「大丈夫そうだから勉強するぞ!」と、停電の中1月の寒い日に、薄明るい窓の近くで、勉強をしていました。家の近所では、液状化とか起こっているにも関わらずですよ(苦笑)

記者:それは衝撃的です!強烈なお父さまですね...

重見:だから、私の中で「勉強」は『やらされるもの』『早く過ぎて欲しい苦痛な時間』でしかありませんでした。勉強が嫌いになって、勉強をしなくなったので、成績も悪くなり、案の定高校も第一志望に落ちてしまいました。滑り止めで行くことになった高校が、かなり校則が厳しい全寮制で、さらに勉強漬け。なので、余計嫌いになりましたね。

高校から大学に受験する時も、「なぜ大学に行くのか?」「社会にどう繋がるのか?」全くわかりませんでした。目的もわからないし、誰も教えてくれない。そこに対しての疑問や、解消されない感情が、今の教育の原点になっているところありますね。

そして大学に入って、影響を受けた小説がありました。主人公がマカオからフランスまで陸路で向かうストーリーがすごい面白くて、バックパッカーをしたくて、20歳でアメリカ大陸を横断しました。
その時、親からは大反対されたので、「これだけ英語を話せるから大丈夫だよ」って話しました。必要に掻き立て、本当に必要と思った時、勉強嫌いだった自分でも、できたんですよ!それを楽しく取り組めました。

「好き」から始まる学びの目的

記者:重見さんご自身が「やらされ感」から「楽しく取り組むことができる!」経験をされたんですね。

重見:とても貴重な経験でした。今、子供たちが塾に通い始める理由は、だいたいネガティブなんです。それは、小学校高学年になって、だんだんテストの点数に差ができてきて、そうなると親が不安に掻き立てられて、そして塾に行くと煽られるんですよ。「もうこのままじゃやばいですよ。」とか「いいんですか、これで」とか。これは健全じゃないと思いましたね。

子供の頃、父が言ったんです。「お前らには遺産は残さん。だけど、受けたい教育は、借金してでも受けさせるぞ。」それはなぜかというと「教育は未来に残るものだから。お金は減ったりするけど、教育は減らないから」と聞いて、とても心に残っています。「教育」というものをポジティブなもの、健全なものにしたいと思っています。

今、「ロボ団」でやってることは、好きなものを学びにして、それを社会に繋げていくことです。教材はレゴを使っていくんですけど、子供達からすると、「レゴのロボットを作る」楽しいですね。嫌がる子はいないです。「作ったら、次に動かしたくなる」だから「プログラミングをしたくなる」となります。でも、「ちゃんと理解しようと思ったら、算数とか数学、理科の領域が必要」なんですよ。だからそのために算数と理科も教材として当然入れています。

こんな風に、好きなことから入って、やっていると興味が湧きますし、興味が湧くと、学校の授業も肯定的に聞くので、吸収も早くなって、それが成績にも出てくるっていうのが立証されています。実際「ロボ団」に通う子供たちと、一般の子供たちの数学の点数は9点、理科は12点、平均して高いというデータが取れています。

親から言われて、目的もわからないまま勉強をする。それは子供の内発的な動機ではなく、外発的な動機づけです。そうじゃなくて、自分がやっている興味関心、好きなことをもっとやるために、その手段として習い事や受験を使う。親はそれをフォローしたらいいだけなんですよね。それがあるべき姿じゃないかと思っています。

記者:子供たちの興味関心を育てていくことから、学んでいく意欲や姿勢が生まれて来るんですね。それが一番自然で理想的な教育だと思います。未来の子供たちの可能性を拡げていける親や、子供たちをもっともっと増やしていけたら素敵ですね!今日は熱いお話、ありがとうございました。

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重見さんの活動内容、ご連絡に関してはコチラから
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◆夢見る株式会社 HP https://done-school.com/

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【編集後記】インタビューの記者を担当した山口・中村です。
重見さんの現体験で感じた疑問や問題意識が、今の取り組みに繋がっていることを感じました。「ロボ団」では、卒業した中学生、高校生に向けたプログラムも開発されていらっしゃるという事で、さらに活躍していける子供たちの輩出が、加速していきそうな予感がします!
これからの新しい教材やプログラムの登場も目が離せません。これからも、応援していきたいと思います。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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