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人生で後悔している、たったひとつのこと

突然ですが、みなさんは“後悔していること”ってありますか?

実は私、数年前までひとつもなかったんです。学生時代の進路、就職先、仕事上の決断、脱サラして独立したこと、恋愛もなにもかも。

さっきのケーキ、もう一口食べればよかったとか。ラーメンのトッピング、ほうれん草じゃなくて海苔にすればよかったとか。ちょっとしたことはあるけど、5分も経てば忘れているし、だいたいその日のうちに消化している。

言ってしまった・やってしまったこともあるけれど、後悔する暇があるなら一旦認めて次のアクションを考える&実行したほうがずっと生産的。“後悔しても仕方ないからしない”の方が正しいかもしれない。

そんな私がしているたったひとつの後悔は、父方の祖父が亡くなる前に「ありがとう」を伝えられなかったことです。

私の家庭はちょっぴり複雑で、メンバーは父、母、私、弟2名の5人ですが、ほぼ交流無し。私が家を出で18年くらい経つけれど、家族全員揃ったのは親戚のお葬式が2回(祖父の式を含む)と結婚式が1回だけで、いつもたった数時間。その話もいつかすると思いますが今回は割愛。

数年前、そんな解散型家族のメンバーのひとり 母がよこした手紙に「よしこと父は血が繋がっていない」と書かれていたのです。カミングアウトのタイミングが謎。大学入学とか、20歳になった時とか、就職とか、人生の転機の方が伝えやすくないかい?

まぁ、どうでもいいんだけど。

ということで、父方の祖父とももちろん血の繋がりはありません。30歳を余裕で超えてから知ったので、びっくりするほど冷静に納得。他の兄弟と違って私は父と似ていない。父方の祖母は私をかわいがってくれましたが、どこかよそよそしさを感じていました。血の繋がっていない孫は、祖母にとって少し複雑な存在だったのかもしれない。とはいえ、気を使って傷つけないように大切にしてくれたのだと思います。

祖父はめちゃくちゃ溺愛してくれました。会うたびに苦しいぐらいのハグとキスで、私が欲しがるものは母親が止めても買ってくれたり、行きたいところへ連れて行ってくれたり。父方の親戚もみんな事情を知っていただろうけれど、会う人会う人みんなかわいがってくれました。母が父方の祖父母や親戚が苦手な様子だったため、数えるくらいしか会えなかったことは残念です。

父方の親戚は他県に住んでおり、父や母を通じて子どもの頃しか交流をしたことがなかったので、どんどん疎遠になってしまいました。連絡先もわかららないまま。なので「家族と疎遠だから、親戚に会えないのも仕方がない」と諦めていた私。

でも、あんなにも大事にしてくれた祖父と祖母には会ってお礼を言いたいなと思ったのです。

パートナーの連れ子を大切にする人が大半だとは思うけれど、「血が繋がっていないから」といいわけをして、傷つけてしまう人も残念ながら世の中にいる。手を挙げたり言葉で攻撃するのは絶対に許せない。時々そういったニュースを見ると、人事とは思えず胸が痛くなってしまう。私は命を落とすことなく今も図太く生きている。たまたま、ラッキーだっただけ。血が繋がった母には相当な扱いを受けたけど….

ちなみに「他のヤツの子どもはかわいがれねぇな」という意見を聞いてもなんとも思わない。「あなたはそうなんですね。私とは違いますね」で終わり。これを読んでいる人の中にもそういう意見の人はいると思う。私は育った環境のせいで血の繋がりの重要性をまったく感じないけれど、それを大切にするあまり、思い悩んだり、傷つけあったり、時には血が流れたり、お金が絡んだり、離婚に至ったりする人は多いでしょう?その人たちにとってはそれが大事なのだから仕方ない。こだわりすぎて不幸になっている人を見ると「不毛だね」と思うけど、これは私の意見であって彼らには関係ない。

話外れた。戻ります。

祖父母にコンタクトを取ろうとして立ちはだかる壁、母。母に祖父母の連絡先を聞きたい。でも...母と連絡を取るのは私にとってとてもハードルが高いことでして、想像するだけで恐怖と不安で涙が止まらなくなったり、頭が痛くなったり、動悸がしたり、絶不調極まりない!典型的なトラウマに対する拒絶反応やんけ!!

父の連絡先は知らないので、恐怖を跳ね除けて母に連絡をしなければならないのですが、私は先送りにしてしまったのです。

先送りをしている間に、祖父は亡くなってしまいました。母から手紙をもらって1年も経たない2017年の春に。

お葬式で祖母に「おじいちゃん、よしこちゃんのこと待ってたんだよ」と言われました。そのときも祖母はやさしかったですが、私は人生で初めて取り返しのつかない後悔をしました。あの日から思い出さない日はありません。自分がもっと強かったら母に連絡先を聞いて会いに行けたのに。

これを今読んでいるあなたに会いたいと思う人がいるなら、ぜひ会いに行ってください。近くにいる人でも、遠くにいる人でも会って、「ありがとう」とか「好き」とか、大切に思っている気持ちを恥ずかしがらずに伝えて欲しいなと思います。高齢だったり持病があったり妊娠中だったり、コロナが心配でどうしても会えないならビデオ通話やせめて電話だけでも。

余計なお節介かもしれないけれど、人ってあっという間にいなくなってしまうから。

最後に、2001年9月11日 アメリカ同時多発テロ事件で行方不明になった方が生前に記したとされるメッセージを載せておきます。有名すぎるから読んだことがある人も多いでしょうけど、私はよくこれを読み返すのです。


あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしはあなたを抱きしめてキスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう

あなたが喜びに満ちた声を
あげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしはその一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・
「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか伝えたい

そして わたしたちは
忘れないようにしたい

若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されて
いないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと

だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから

以下 原文

「Tomorrow Never Comes」
by Norma Cornett Marek

IIf I knew it would be the last time that I’d see you fall asleep,I would tuck you in more tightly, and pray the Lord your soul to keep. If I knew it would be the last time that I’d see you walk out the door,I would give you a hug and kiss, and call you back for just one more.

If I knew it would be the last time I’d hear your voice lifted up in praise,I would tape each word and action, and play them back throughout my days. If I knew it would be the last time, I would spare an extra minute or two,To stop and say “I love you,”instead of assuming you know I do.

So just in case tomorrow never comes, and today is all I get,I’d like to say how much I love you, and I hope we never will forget. Tomorrow is not promised to anyone, young or old alike, And today may be the last chance you get to hold your loved one tight.

So if you’re waiting for tomorrow, why not do it today? For if tomorrow never comes, you’ll surely regret the day That you didn’t take that extra time for a smile, a hug, or a kiss,And you were too busy to grant someone, what turned out to be their one last wish.

So hold your loved ones close today and whisper in their ear That you love them very much, and you’ll always hold them dear. Take time to say "I’m sorry,"... "Please forgive me,"... "thank you" or "it’s okay". And if tomorrow never comes, you’ll have no regrets about today.

引用:『最後だとわかっていたなら』
 作 / ノーマ・コーネット・マレック
 訳 / 佐川睦
 出版社 / サンクチュアリ出版


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