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原子・元素・原子核

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原子・元素・原子核に関わるテーマについて考えたり、学んだことを書いた記事をまとめています。
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#分子

化学反応とは原子の組み合わせの変化

物質を細かく細かく見ていくと、原子や分子に行きつく。つまりは、身の周りの物質は原子(元素)からできているのだ。 自然界においては複数個の原子が結合し、一つの分子として存在する。中には原子1個で分子として動いているものもあり、単原子分子と呼ばれる。 それら原子や分子を考えることで、化学反応も理解することができる。 原子の組み合わせを変える化学反応以下では、炭素が燃える、つまり、炭素と酸素が結合する化学反応を例に話を進めたい。下図は、その概念図だ。 図中の黒丸が酸素原子、

元素周期表はたまに“進化”する

元素とは原子の種類だ。すると、元素周期表は「原子の種類の一覧表」だと理解できる。では、原子の種類、つまり、元素は、何種類あるのだろうか。この疑問は、実のところ未だに謎に包まれている。 元素は今のところ118種類が知られているスイヘーリーベー、ボクノフネ、ナナマガリシップス… 元素周期表は水素(H)から始まる。現在、周期表に記載されている元素の数は118個に及ぶ。 「現在」と書いたのには、理由がある。元素は、たまに追加されるためである。例えば、112番元素「フレロビウム(

元素とは原子の種類のこと

分子は元素記号を用いて表すことができる。例えば、 それぞれ、水分子、二酸化炭素分子、窒素分子を表している。 ちなみに、これらの記号は分子の集合体の意味も持つ。例えば、H2Oは「水分子」を表し、かつ、その集合体である「水」の意味も持っている。 さて、ここでは水分子1個に注目すると、以下のような表し方がある。理科の教科書を開けば、よく登場するものたちだ。 これらから「原子(げんし)」の存在が浮かび上がってくる。 模式図を見ると、水分子は黒丸1個と白丸2個から成ることが分

ミクロとマクロをつなぐボルツマンの関係式

熱いお湯に冷たい水を加えると、ぬるま湯になる。コーヒーに牛乳を混ぜると、コーヒー牛乳になる。周知の現象だ。 しかし、その逆はない。これも周知の事実だろう。例えば、ぬるま湯がいつの間にか、熱いお湯と冷たい水に分離するなんてことは起こらない。コーヒー牛乳の場合も同様だ。 なぜだろうか。これを説明するのにも「分子(ぶんし)」が重要になる。 自然界はごちゃまぜが好き:エントロピーという熱力学量大学で熱力学の講義を受講すると、「エントロピー」という量を習う。これは物事の「乱雑さ」

“つぶつぶ”論争に散った物理学者

ブラウン運動に関するアインシュタイン博士の理論研究、そして、ペラン博士による実験研究により、身の周りの物質は“つぶつぶ”(分子)でできているという私たちの「物質観」が受け入れられていった。 ただし、それ以前は物理学者の間でも、見えない“つぶつぶ”(分子)を巡る激しい論争が繰り広げられていた。 分子の存在を確信し、論争の中心で闘い続けたのがオーストリアの物理学者 ルートヴィッヒ・ボルツマン博士(1844~1906)だ。彼は当時の物理学界における大御所の一人だった。 実はボ

世界が“つぶつぶ”でできている証拠

水は水分子の集合体だ。しかし、分子は小さくて、肉眼では到底見えない。「分子なんて本当にあるのか」とも感じてしまう。 それは過去の物理学者たちも同様だった。「分子なんて存在するはずがない」と考えていた物理学者も多かったのだ。しかし、分子の存在を決定づける研究が行われ、それを立証する実験データも積み重なり、現代においては分子の存在は科学的に確認されている。 やはり、身の周りの物質は“つぶつぶ”(分子)でできているのだ。以下では、分子の存在を決定づけた研究を紹介したい。 生き

私たちは粒々でできている?

身の周りの物質は何からできているのか?という問いは、人類が太古から向き合い続けてきた根源的なものだ。この問いに向き合い続け、答えを出し続ける営みは物理学が持つ要素の一つだ。「物質観の探究」とも言える。 その探究は古代ギリシアで原型が生まれた。レウキッポスやデモクリトスは、以下のような疑問を持った。 「物質を細かく、さらに細かく刻んでいったら、どうなるのか?」 最終的には、何もなくなってしまうのか?「いや違う」と彼らは考えた。物質を細かくし続けた、その先には「非常に小さい

“見えない”分子を通して“見える”世界

全ての物質は粒々からできている。 古代ギリシアから磨かれてきた私たちの「物質観」だ。 身近な存在である「水」も例外ではない。水は「水分子」という粒々の集まりだ。下図は水分子から成る水の概念図だ。氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の状態が描かれている。 図中からは、「一粒」として動く粒々の存在が確認できる。水蒸気を例として見てみよう。すると、白丸2個と黒丸1個がまとまった「一粒」として動いていることが分かる。ちなみに、色は判別のためで、実際にその色をしている訳ではない