三、 ボヘミアンの戯画 1) 「カフェ・フランス」
芝溶の日本語詩には、それとほぼ同一の朝鮮語詩も残されている場合があります。冒頭で引用した「かっふえ・ふらんす」は日本語で発表されたものですが、朝鮮語による作品は、日本語作品に無い前半部が付け加えられています。次に引くのは、朝鮮語作品を私が日本語に訳してみたものです。朝鮮語では「カペプランス」と発音するのですが、カ、ペ、プは息を吐く音を伴って発音され、「かっふえ」の、ふうわりとした柔かさはありません。それは、もっと硬質で、モダンで、洗練された印象を与える音です。もわっとした大