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吉穂堂で会いましょう #4

 文学フリマへの参加を控えた5月某日。
 吉穂堂にお客様がいらしてくださいました。

 ローロー(白川雅)さん!

 ローローさんは、現在「白川雅」さんというお名前で小説を執筆されています。最近は雅さんとお呼びしています。雅さんがnoteで私が書いたエジプトの記事に目を留めてくださったのがきっかけで、私も雅さんの奥深い記事に触れ、それ以来のnote仲間です。

 南米のいくつかの国以外はほとんどすべての国に行き、エジプトやインドその他たくさんの国で暮らしたこともあり、アラビア語はじめ、多言語が堪能な超国際派。
 憧れの人なのです。

 実は憧れのぶん、緊張もしていました。
 もしあなたが峰不二子に会えるとしたらどうします?
 私にとってこの日は、峰不二子に会える日、だったのです。
 緊張しますよね。笑

 私の中で峰不二子は、行動する才女のイメージです。世界を股にかけ、どんな国の言語でも自在に話し、巧みな話術ですっと各国上層部の懐に入り込む―――毎回ラストシーンで「じゃあねぇルパン」と颯爽と去っていく姿は、ピカレスクロマンのヒロインとはいえ、まさに自立した女性の理想像です。

 初めてお会いした雅さんは、まさに行動する才女でした。何のお話をしよう、話が途切れたらどうしよう、そもそも初手で「なんだ、吉穂みらいってこんな人か」と思われたらどうしようと心臓バクバクでしたが、お会いしてから会話が止まらず、心配は杞憂に終わりました。

 お話の内容も歴史知識と世界への見識に支えられた深いものから、ご近所の話題(お近くに芸能関係の方も多くびっくりするような名前が沢山!)、華流・韓流をはじめとする海外ドラマの話まで幅広く、雅さんの「ローロー記事」と同じようにどんどん引き込まれていきます。聴いているこちらがいつのまにか賢くなるような話術にうっとりする時間を過ごすことが出来ました。

 雅さんも、この時のことと、吉穂堂、そして文学フリマの紹介を記事に書いてくださっています。

 雅さんからは、文学フリマのカタログに、『春告鳥』の感想を寄稿していただいています。この日、出来上がったばかりのカタログをお渡しすることができてよかったです(上の記事のトップ画像にあるのがカタログです。雅さん、トップ画像にしてくださって、ありがとうございます!)。

 しかも、なんと雅さんはいくつかお心遣いのプレゼントを用意してくださっていたのですが、中でもこちら。

アンクのチャーム

「アンク」というのは、古代エジプトでは「生命」を表す言葉です。それを象ったものは(主にキリスト教圏などで)エジプト十字とも言われるようですが、古代エジプトでは生と死、生命の鍵です。

 実は私、30年ほど前にエジプトに行った時に欲しかったのが「アンク」と「ファティマの手」の「なにか」でした。「なにか」というのは、具体的にどういうもの、というイメージがなくて、それを象ったアクセサリーやインテリア、お守りなどの「なにか」。

 しかし、ファティマの手の「なにか」は見つかりましたが、アンクはどうしても見つからず(いっぱいあるんですが、気に入ったものがなく)、結局アンクの「なにか」は買えなかったのです。

 ちなみに「ファティマの手」はイスラム圏、主にトルコのお守りで、私はトルコ系のお守りも意外と好きで、トルコに行ったこともないのに「ナザールボンジュウ(青い眼玉のお守り)」などもなぜか家にあるんですが、どうしても「アンク」はやってこなかったのです。

 エジプトに行ったのにエジプトで買ったのは、いわゆる「いかにもお土産品」のヒエログリフのパピルスや香水瓶などで、もちろんぼったくられて購入したものばかり。笑 
 少々心残りがあったのでした。

 しかし!ついに!私はアンクを手に入れた!
 憧れの人の手によって!

 もはやこれは運命。そして浪漫。
 たぶん私は、あの日から30年後に雅さんからアンクを受け取ることになっていたのでしょう。

 ちなみに私は、もしトルコに行くことができたら、絨毯が欲しいです。お守りは比較的良くやってくるので、未踏の地だけれどトルコという国にご縁はあるはず。でも、トルコの本格絨毯は死ぬほど高いです。そして家に立派な絨毯を置くスペースもありません。だからトルコに行けないのかもしれません。⇠チガウチガウソウジャナイ

 私は昔から、旅の話を聴くのが大好きです。お土産に何がいいと聞かれたら必ず旅の話と答えます。
 ローロー記事の旅のお話や、雅さんから直接聞く旅のお話はまさに極上の本格「土産話」で、たまらない魅力がありました。

 この記事にあるように、お土産というものは、なかなかピンポイントに相手の望むものと合致することが少ない気がするものですが、今回はまさに―――

中にはお土産を選ぶのが超絶に上手い人もいる。まさにドンピシャ、こういうのが欲しかった!というものをいただくこともある。

 ―――これでした。極上の旅のお話と、ドンピシャのお土産と、両方いただいてしまいました。雅さん。本当にありがとうございます。

 雅さんの「ローロー」名義の記事は、初期の頃のお話もインパクトの大きいものが多いですが、なにより私は「スエズ運河」をめぐる中東とヨーロッパの歴史の記事に完全に心を奪われました。雅さんはスエズ記事は独立したマガジンにされていないので、僭越ながら興奮気味に感想を書いた拙記事を。

 マガジンフォローや自分のnoteでの紹介は当然として、実際にコピーして綴じておいたぐらい。永久保存版だと思いました。


 そのスエズの歴史を含めた小説が、ついに発売されると知った時の興奮は言葉に言い表せるものではありません。


 雅さんの描かれる歴史ロマンは、誰かが生涯かけて丹念に織った最高級の絨毯のように華麗に織りなされる、壮大な歴史と人間の物語です。
 架空の人物と史実を、こうまで見事に融合させることができるのかと、尊敬の念しかありません。
 怒涛の展開に夢中になります。必読です。

 最近では「トーマス・クック記事」が見事です。
 雅さんは、歴史上の出来事や人物を徹底的に調べ、そのうえで慧眼に満ちた考察をされています。

 今回のこのマガジンの記事は、世界の暗部ぎりぎりに迫る調査だったようです。若干危険を恐れたこともあったと伺い、その覚悟に震えました。やはり―――やはり、不二子の香りがするのです。

 雅さん、吉穂堂にいらしていただき、本当にありがとうございます。
 また気が向いたら、神保町に足を向けてくださいね。
 その日を楽しみにお待ちしています!