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恐怖っていうのは限りなくワクワクと一緒なんです

「恐怖っていうのは限りなくワクワクと一緒なんですよね」

ぼくの大好きなCOTEN RADIOにゲスト参加していたコルクの佐渡島さんの言葉だ。この一文はぼくの中で、しおれた植物が水を得て生きかえるかのように染み渡った。

「恐怖とワクワクって、簡単にひっくり返せるタイプのオセロみたいな感情で、未知へのワクワクなわけですよ。レールが引かれていたらワクワクしないんで。予測不可能をワクワクしているときと、予測不可能を怖いと思っているときがあって、だからその予測不可能さ加減をどうやったらワクワクに変わるんだろうなと思ったりとか」

確かにそうだった。未来が予測可能になってしまうと、ぼくはいつもなんだかつまらなくなっていた。修士課程の学生時代、希望の会社に内定をもらえたにも関わらずこの先何十年もが見えてしまった気がした。結局ぼくは、その内定を断り、なにも見えない博士課程に進むことにした。

前職では、入社してすぐ、なにをやるかも決まっていない特殊部隊のような2人事業部に配属された。本当になにをやったらいいのか分からなかった、事業部の先輩に聞いても「特に決まっていない」という答えが返ってきた。やることがある程度明確な部署に入った同期を羨ましく思うこともあった。それでもそのなにもなさの中で、勝手に企画を考え営業し、失敗をしながらも仕事を回していくようになっていた。

実はそのころ、佐渡島さんにお世話になったことがある。そのころ佐渡島さんは、講談社で『宇宙兄弟』の編集を担当されていた。ぼくが初めて書いた企画書は宇宙兄弟をなぞらえて、大学生と中学生が協力して挑戦する長期ワークショップの企画だった。その企画は営業がとれ、奇跡的に宇宙兄弟とのコラボ企画として実際に実施することとなった。

新人のぼくにとっては関係者が多いこの企画は大変な事だらけだった。企画がなんとか終わった日、一緒に組んでもらっていた先輩と行った大江戸温泉はいまでも忘れられない。いま思うと、そのころのぼくはすごくワクワクしていたと思う。

その後、事業部を任されることになる。当初はとても苦労した、事業部長がそもそもなにをやるのかさえも分からなかった。それでも、失敗や成功を繰り返していく内にチームマネジメント、企画立案、営業、プロジェクト実施、事業部の売上目標達成など、大体のことが見通せるようになってきた。ようやく安定して仕事を進められるようになった反面、なんだかワクワクしなくなっていた。

その結果、35歳にして縁もゆかりもない土地で、やったこともない農業の世界に飛び込むことになった。

思い返すと、ぼくはレールの先が見通せるようになると、いつだって、道がない方に踏み出してしまう。それがなぜなのかは自分でもよく分からなかった、「もっとスマートにやっていけたんじゃないかなぁ」と思うこともある。

ただ、COTEN RADIOの佐渡島さんの話を聴いて、ふっと気づいた。
「ぼくはただ、いつだってワクワクしたかったんだ」

正直なことを言うと新規就農一年目の今年、まだ分からないことばかりで先が見通せないことに不安を感じていた。でも、これはまたワクワクを感じられる場所まで辿り着けたということなんだと思う。

ありがたいことにまた目の前に現れた未知の世界にワクワクしながら、頑張っていこうと思う。もし上手くいかなくたって、きっとなんとかなる。ワクワクする気持ちを失っていたぼくが、またその感情を取り戻せたのなら、人生にとってこれ以上に楽しいことなんてないはずなのだから。


COTEN RADIOの佐渡島さんゲスト回、ぼくにとってはすごく気づきがある回でした。ぜひ聴いてみてください。

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