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「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」を町の電気屋さんから学んだ話

日本列島の北のはて、にもかかわらずオホーツク地方は意外と暑い。ちょっと内陸に入った、北見、美幌、津別辺りはかなり暑い。ぼくらが住んでいる美幌はつい最近、その日の国内最高気温を叩き出したばかりだ。

まあ、気温の測定値が高かったとしても湿度は低めでカラッとしている。アスファルトの照り返しがあり、湿度も高い東京での暮らしに比べれば暑さはほとんど気にならない。オフィスから一歩外に出ると、「あれ?ここはサウナかな?スーツのままサウナに入るのはきついなぁ・・・。」という東京の熱さは今も僕の記憶に深く刻み込まれている。

とはいえ、美幌の暑い日は家の中もかなり熱くなる。
「つむもいるし、スピカもいるし、さいこうファームは人が集まる農園にしていくんだし。それに・・・、夜、可愛い湯たんぽの様なつむに抱きつかれて寝る私の気持ちも考えて!」
と言う幸枝さんの熱い要望もあって、我が家もエアコン導入を検討することに。

最初に向かった先は家電量販店、隣の北見まで足を伸ばす。

家電量販店に着き、エアコンコーナーへ。ずらり勢揃いするエアコン。何を基準に選ぶのか分からずにいると、説明に来てくれる店員さん。説明を始めてくれる。あれこれと話を聞く幸枝さん。エスカレーターを見に行きたいつむぎ。つむぎに引っ張られてエアコンコーナーを後にする僕。

エスカレーターを何度も往復し、満足した後はおもちゃコーナーに座り込みを始めたつむぎ、それを眺めている僕。しばらくすると幸枝さんが戻ってくる。

もう一箇所の家電量販店もはしご。説明を聞く幸枝さん、つむぎと一緒にエスカレーターにトラップされる僕。

店を後にしつつ
「大体の値段感はわかったけど、どうしようかなぁ・・・」
と幸枝さん。

数多ある機種、必要に応じて発生する様々な工事。我が家の場合、何が良くて、いくら掛かるのかがわからない。結局、エアコンを買うこと自体にも悩み始めている様子。

家に帰り、エアコン導入に暗雲立ち込める中、Twitterを見ながらふとつぶやく幸枝さん。

「そう言えば、美幌に料理教室をやっててちょっと有名な電気屋さんがあるらしいよ」

検索してみる。「美幌、電気屋、料理教室」。

出てきたのが、こちら

「でんきやなのに料理教室がライフワーク 田中忍 SHINO’S キッチン」。ほうほう、これは完全に料理教室。そして、ちょっと素敵。キーマカレー食べたい。

よく見ると、確かに、美幌の電気屋さんらしい。交通アクセスを見てみる。ふむふむ、羽田空港から1時間45分か。美幌にいながらにして、東日本全体を守備範囲にしているとは心強い。

なんだか面白そうなので、今度は「SHINO’S キッチン」こと「ようでん」さんに相談に行くことに。

自宅から車を走らせ、数分。青い看板が印象的な「ようでん」を発見。中に入るとあの「SHINO’S キッチン」の忍さんが。タレントさんにばったり出くわしたような嬉しさを感じつつ、エアコンについての相談をしてみる。

驚いたことに、店内には一つもエアコンが置かれてない。まずは自宅に見に来て、それに合わせてエアコンをメーカーに注文する方式らしい。町の電気屋さんってそんな感じなんだなぁ。

翌日、さっそく我が家の状況を見に来てくれた。来てくれたのはあの「SHINO’Sキッチン」の旦那さんの裕次さんだ。祐次さんはビートルズを愛する室外機オタクらしい。

家の中の状況を確認。
「この家の感じだと工事はこんな感じか、こんな感じですね」
「なるほど、なるほど」
「電気の契約は何アンペアです?うん、それですとあまり大きくないほうがいいかもしれないですね。このくらいのものがいいんじゃないですかね」
「この部屋キッチンとつながっちゃってますけど、それで冷えますかね?」
「うーん、まずはリビングが冷えて、その後キッチンと言う感じになりますね」
「ああ、それならキッチン側は北向きでそこまで熱くならないので大丈夫です」
「それでは、機種はこの辺りがおすすめですね」
「ほうほう」

トントン拍子。機種を選ぶ前に部屋を見てもらうだけでこんなにスッキリ進むとは。

正直言って、町の電気屋さんのことはあまり期待していなかった。きっと、機種もあまりいいものが無いだろうし、価格も量販店より高いんだろうし・・・。そんな印象。

ただ、実際に来てもらうと、なんだかいい感じ。
「ああ、町の電気屋さんってこんなに価値あるものなんだね。予算内であれば、ここに頼んじゃおうか」
僕と幸枝さんの考えは一致。

家に来てもらったその日の内に、メールで見積もりが届く。安くはないけど、ギリギリ想定していた予算内。まだちょっと迷っているがお願いしようと思っている。他と比べるつもりは無い。

結局のところ僕らは、ただ、夏の暑い日に部屋が涼しくなってほしかっただけで、エアコンを選びたかったわけじゃなかったし、予算内であれば一円でも安い店を探したかったわけでもなかったようだ。

ああ、これがあのT・レビット博士が言っていた「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」かぁ。

町の電気屋さんに触れて、マーケティングの格言に妙に納得した一日だった。

きっと、野菜を買う時も変わった品種や、こだわりの栽培法のものが欲しいのではなく、その野菜が提供してくれる「おいしさ」や「彩り」、「楽しい食卓」が欲しいんだろうなぁ。頭に刻んでおこう。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!ぜひ、気軽にスキやコメントお願いします!今日はだいぶ長かったですよね、でも町の電気屋さんおすすめですよ!

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