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水井真希さんと金子遊さんの裁判について、性暴力問題に詳しいライターの小川たまかさんの記事が掲載されました。

2023年7月23日に急逝された俳優・映画監督の水井真希さんと多摩美術大学准教授(休職中)の金子遊さんの裁判について、性暴力問題に詳しいライターの小川たまかさんの記事が掲載されました。

しかし、記事中に仮処分決定に関する間違いがあると思いますので、補足させて頂ければと思います。

2022年9月に金子遊さんは水井真希さんに対して名誉毀損のスラップ訴訟を提起しており、水井真希さんが急逝される直前まで東京地裁で両者の3度目の民事訴訟が行われていました。その民事訴訟とは別に、水井真希さんの2022年7月〜12月の投稿(約50件)に対して、金子遊さんは投稿記事削除の仮処分命令を申し立てていましたが、これらの投稿が名誉毀損だと判決で法的に認定されたわけでは決してありません。

あくまでも仮処分決定であり、金子遊さんが法務局に30万円の担保金を支払って、削除の必要性を仮に認めてもらったに過ぎません。しかも、その対象となったのは、全部で約50件あるうちの約35件のみです。

2023年7月31日に金子遊さんが自身のブログに仮処分の決定を告げるただの通知書の画像とともに発表した文章には、「名誉毀損を認定」「判決書類の一部」「判決文の一部」などと、あたかも本案訴訟の結果であるかのように書かれていますが、これらは虚偽記載です。

水井真希さんの一連の投稿は、法的に何ら問題はありませんので、「不法な投稿記事」では全くありません。事実、水井真希さんの一連の投稿は、金子遊さんと上記の民事訴訟を承継したご遺族との和解が成立した後の2024年6月8日まで全て削除されませんでした。また、水井真希さんの一連の「投稿記事をリツイートして拡散したり、引用をして投稿した」X ユーザーは、確実に延べ数千人以上に及びますが、それらのX ユーザーが刑法上の名誉毀損罪に問われたという話も一切聞きません。

また、私自身も横浜地裁、東京高裁、千葉地裁の判決文に加えて、上記の東京地裁での民事訴訟の事件記録も全て確認しましたが、一字一句同じではないにせよ、水井真希さんの告発内容は、裁判の認定事実とも全く齟齬はありません。両者の間で3度争われた民事訴訟の事件番号は以下のとおりです。

横浜地方裁判所 川崎支部 平成25年 (ワ) 第388号
訟廷事務室(本館1階右側)直通 044-233-8172

千葉地方裁判所 松戸支部 平成27年 (ワ) 第225号
民事訴廷事務室 直通 047-368-5143

東京地方裁判所 令和4年 (ワ) 第23123号
民事第16部甲F係 直通 03-3581-5766(担当:宮本、武井)

水井真希さんと金子遊さんの事件は、2017年と2023年の二度の性犯罪刑法改正前の2013年〜2014年に民事裁判(横浜地裁と東京高裁)で不法行為に基づく損害賠償請求という形で争われましたが、性被害に関する司法判断は、当時の刑法上の性犯罪(旧刑法177条の強姦罪及び準強姦罪)の構成要件(とりわけ抗拒不能)に厳密に影響され、性被害に関する当時の司法の無理解と偏見が反映されたものに過ぎません。

なお、理由は不明ですが、2022年7月11日、7月12日、9月30日に投稿された以下の4つのツイートは2023年8月下旬に削除されました。

この事件に関するこれまでの経緯は以下の通りです。

多摩美術大学は、2023年8月8日付で発表した「本学教員のSNS上で言及されている件への対応について」という以下の文章を、3週間程掲載しただけで、8月28日頃にホームページから削除しました。教育機関として、このような対応は極めて不適切であると思いますので、こちらに文章を再掲させて頂きます。

2023年9月6日に私も金子遊さんから以下のメッセージを受け取りました。

また、金子遊さんは2023年8月8日に自身のブログに発表した「故人へのお詫びと活動中止のご報告」という文章を2024年1月1日頃に削除しました。

元映像研究者の那田尚史さんが金子遊さんについて書いていたブログがまだ1本残っていました。

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