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【ショートショート】舞台袖

舞台袖で次の出番を待つ。否が応でも緊張が高まる。
舞台上のコンビは華やかな衣装にポップなネタで観客を盛り上げていた。
「ええか。お前らが場の空気をガラッと変えて大トリの師匠に繋げるんや」
背後から支配人の声がした。
「毎年言うてますけど出番あいつらより前に出来ませんか。僕ら華が無いんであいつらの後はしんどいし、何より師匠の前は荷が重くて…」
どっと観客の笑い声。あいつらは今日も調子がいい。
「師匠は俺の前を取り仕切るんはお前らしかおらん言うてはる。もっと自信持て」
二人の肩を叩き支配人は奥に消えた。
「ギャラ交渉とこれは一向に先に進まんな」相方は呟いた。
「ホンマやで。あ、終わるで」
拍手の中、舞台袖に捌けてきた前コンビとすれ違う。
「ほな、あと頼んだで」
赤と緑の衣装を着た彼らはやり切った顔だった。
「Xmasは今年も調子ええなぁ」
「さぁ俺らの番や、ええ空気で正月師匠に繋げるで」
出囃子が鳴り、相方と目を合わせ勢いよく舞台へ飛び出した。

「はいどうもーー!『もういくつ寝ると』ですよろしくお願いしますーー」

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