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【ショートショート】SRS開発者の談話

私がこのSRS(ストレス・リサイクル・システム)を発明した2040年以前はストレスはただ発散するものでした。
ストレスを石油に置き換わるエネルギーとして資源化することに成功し、当時世界が抱えていた問題は一気に解決へと向かったのです。
ストレスとは人間が外部刺激に伴って発生させる緊張です。
いわば社会生活をしていれば必ず発生する副産物であり、SRSの実現により人類は無限に採取できる資源を手に入れたと言っても過言ではありません。
ストレスは一度溜め込んでしまえば、効率よく発散することが容易ではなく挙げ句、健康に害を及ぼす厄介な存在でした。
それが専門機関であるSR処理場に提供することによって利益を得ることが可能になったのです。
世界の価値観は180度逆転しました。
いかに効率よくストレスを溜め込むことが出来るか。
その難しい課題に世界各国、国家事業として苦戦しています。

その中で突出しているのが日本です。
日本はSRSに対してこれまでの生活スタイルを一切変えることなく
長年培ってきた企業倫理、モラハラやパワハラ、あらゆるハラスメントを全て資源化することに成功し
良質なストレスが常に安定して採取できる世界有数の資源大国となったのです。


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