【ショートショート】ありきたりな幽霊
2階の部屋で1人休んでいると今日もその気配を感じた。
私は壁掛け時計を見た。
時計の針は午前2時を指しているというのになかなか寝付けないようだ。
ギギ………ギギィ………
部屋の外、突き当りの階段あたりから軋むような音。
恐らく霊感が強いのだろうか。ここに居る事がバレているような気がする。
ギギ………ギギィ………
徐々に音は近づいてくる。そして途切れ途切れの声が聞こえた。
こ…い……う…めよ…おね…ちゃん…
私はじっと身を潜める。
ギギィ……ギギ
ドアの前で音が止まる。
私はドアを凝視する。
いつもならここで音は遠ざかっていく。
ガチャリ
まさか…あり得ない。
ゆっくりと回転するドアノブが見えた。
私は驚きで動けない。
そしてドアがゆっくりと開いていく。
小さな頭が一つ部屋を覗き込んで来た。
部屋を見回す少女。そして…
私と目が合う。
『ギャーーーーーーー!!』『待ってー!お姉ちゃあぁぁん!』
悲鳴を上げながらこの家に住む幼い姉妹は1階へと逃げていった。
ありきたりな幽霊だな。私は。
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