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【ぬいぐるみの恩返し】7「お散歩」

 ぱん田がぼくに聞いた。
 「プトラ、どこから来たの?」 
 「持ち主の鞄からうっかり落ちて道に倒れてたら、このおばさんに拾われたんだ。」
 「それは大変! プトラの持ち主、きっとプトラのことを探してるよ。」
 「そうだね。でも、このおばさんに拾われたのも運命だ。ぼくはこのおばさんについていくよ。」
 「プトラ、それでいいの? 本当に? じゃあ、うちにおいでよ。一人ぐらい増えても養えるから。」
 ぱん田はそう言い、ドラちゃんはにっこりした。
 養える? それはそうだろう。ぬいぐるみはお金がかからない。ご飯も食べないし、服も買わないし、旅行に行ったりもしないのだから。

 ぱん田は言った。
 「今日は天気がいいから、ボクたちはお散歩してるんだよ。」
 お散歩? ぬいぐるみが? ぼくはわけが分からなかったけど、「へえ、そうなんだ。」と答えた。
 トートバッグの中で揺られていると、どっと疲れが出て眠くなってきた。ぼくはしばらくうとうとした。

 しばらくして、おばさんに取り出されて目が覚めた。ここは公園だ。おばさんはブランコに向かって歩いていく。そして、ブランコにぼくを座らせようとした。でも、ぼくはちゃんと座ることができない。何かにもたれなければ、倒れてしまう。おばさんはトートバッグから水筒を取り出してブランコに置くと、ぼくをそれにもたせかけて座らせた。それから、ぼくの右にぱん田を、左にドラちゃんを座らせた。おばさんはズボンのポケットからスマホを取り出すと、ぼくたちの写真を何枚か撮った。

 それから、白馬の遊具の所へ行く。ぼくの足を開いて馬の背中に座らせた。今度はもたれなくても座ることができた。それから、ぼくの前にドラちゃんを、ドラちゃんの前にぱん田を置いて写真を撮った。

 若い男が鉄棒で懸垂をしながら、ぼくたちを不思議そうに見ていた。


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