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【ぬいぐるみの恩返し】14「お花のイベント」

 今日は佳乃さんのお休みの日だ。ぱん田が朝からそわそわしている。どうしたのだろう。
 「佳乃さんは今日、お花のイベントに行くんだ。ボクも連れて行ってもらえるかなあ。」
 お出かけか。ぼくも行きたいな。ぼくも連れて行ってもらえるだろうか。
 「ガーは行くよ。佳乃は特別なお出かけにはガーを必ず連れて行くんだ。」と、ガーが自信たっぷりに言った。

 佳乃さんは朝食を済ませると、いつものトートバッグに水筒と傘を入れた。それから、ドラちゃんをクローゼットから出し、ぬいぐるみたちを見る。

 佳乃さんはまず、ぱん田を入れた。ぱん田、良かったね。次に「ドラちゃんがいると雨が降らないから・・・」とつぶやき、ドラちゃんを入れた。ドラちゃんは晴れ男のようだ。ドラちゃんが行くならなら傘は要らないのではないか。それからガーを入れ、最後にぼくも入れてくれた。やったー!

 でも、佳乃さんは「うーん・・・」と考えている。「4人は多いか。」とつぶやくと、ぼくはバッグから取り出されてしまった。ああ、なんてことだ。ぼくはお留守番だ。

 ぼくが落ち込んでいると、佳乃さんが言った。
 「やっぱりプトラを連れて行こうかな。プトラは行ったことないもんね。」
 佳乃さんはガーを取り出すと、ぼくを再びバッグに入れてくれた。
 「ええ、何で! ガーも行く! ガーも!」とガーは騒いでいたけど、佳乃さんには聞こえない。

 
 イベント会場には人が大勢いた。ぼくは人に見られるのがちょっと恥ずかしかったけど、佳乃さんは平気なようだ。ぼくたちは青空のもと、たくさんのお花と一緒に写真を撮ってもらった。

 お花を一通り見た後、ぼくたちはイベント会場の隣の湖でクルージングもした。クルージングなんて初めてだ。もっとも、ぼくはずっとクローゼットに閉じこもっていたから、初めての体験ばかりだけれど。
 
 船の上で、佳乃さんはぼくの後姿を撮った。人間とぬいぐるみが一緒にクルージングを楽しんでいるなんて、平和な光景だ。ぼくはピンクのモスクを見ていた。後でわかったのは、それが「プトラモスク」という名のモスクだということだ。きれいなモスクだ。いつかプトラモスクを見に行ってみたいな。連れて行ってもらえるかな。

 きれいなお花をたくさん見て、クルージングもして、写真もたくさん撮ってもらって、この日は本当に楽しかった。ガーがいないのも最高だった。

 でも、帰ったらやっぱりガーに嫌味を言われた。
 「お前がいなければ、ガーが行けたのに。ガーは今まで毎年行ってたんだ。」
 毎年行っていたなら、1回くらい譲ってくれてもいいじゃないか。ぼくはそう思った。

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