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【ぬいぐるみの恩返し】6「名前」

 助かった。死なずに済んだ。ぼくはほっとしたけど、まだどきどきしていた。すると、「ねえ、君、誰?」という声が聞こえた。
 気が付くと、バッグの中に他のぬいぐるみがいた。小さなパンダだ。

 「ねえ、君、誰? どこから来たの?」
 パンダがまたぼくに尋ねた。そっちこそ誰だ? 何でバッグの中にぬいぐるみがいるんだ? 大人がぬいぐるみを持ち歩くなんて、おかしいじゃないか。

 「ボク、パンダ。『パン』はひらがなで、『ダ』は田んぼの田。こっちはドラちゃんだよ。」とパンダはもう一人のぬいぐるみを見て言った。ぼくはアニメに詳しくないけれど、「ドラちゃん」がドラえもんのぬいぐるみだということは分かった。
 ぱん田はまた聞いた。「君、名前は? どこから来たの?」

 ぼくには名前がない。でも、名前がないなんて、恥ずかしくて言えない。一度も人間に愛されたことがない証拠だ。今、自分で考えよう。ウサギだからバニーか? いや、それじゃあまりに単純だ。

 その時、トートバッグの中に紙があるのが見えた。何かのチラシのようだ。たくさんの花の写真と 「Royal Floria Putra…」という文字が見えた。「Putra」のところで紙が折れていて、その先は読めない。

 「ぼくは・・・プトラ。プトラだよ。」

 こうしてぼくは自分に名前を付けた。ぼくの名前はプトラだ。

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