保有効果と行動経済
授かり効果?
自分が所有しているモノに高い価値を感じ、
それを手放す事に抵抗を感じてしまう心理現象を
保有効果(授かり効果)と言います。
この保有効果ですが、
正規ルートの取引をしていない時ほど…
顕著に表れると言われています。
特別感的な感覚ですね。
いわゆる…
手に入れた時よりも、
価値が高くなっていると思い込む事です。
手に入れたモノは失いたくない
人間は勝手な生き物です。
手に入れたモノは失いたくない!
手に入れたモノは維持したい!と言う、
現状維持バイアス=プロスペクト理論が、
働くからです。
新しいモノを手に入れるよりも、
失うモノの方が大きな損失に感じるのですね。
分からなくもないですけど…
愛着が湧く
例えば…
大切に使っている鞄、
使い古した時計、
長年使ってきた財布等々
これらは他の人にはない価値がありますね。
汗水たらして必死で働いて買ったとすれば…
思い出や愛着は一入でしょう。
人間は毎回同じモノに何度も何度も接する事で、
好感を抱くと言われています。
それがザイオンス効果であり、
単純接触の法則と言われています。
ザイオンス効果
ザイオンス効果は、
相手と繰り返し接触することによって、
だんだん好感度や評価などが高まっていく、
という効果です。
最初は興味や関心が無かったとしましょう。
しかし…頻繁に目に触れたり、
何度も接する機会が増えたりした場合は、
次第にその対象に対し、
良い印象を持つようになる!という効果です。
心理学的には…
接触回数が上がれば上がるほど、
対象になる方への警戒心や恐怖心が薄れ、
親近感を持つというらしいです。
逆効果もあると言う事
この辺りは行動経済と言うよりも、
心理学的になりますので気を付けるべき所ですが…
「ザイオンス効果」を誤って使ってしまいますと、
逆にウザがられて、
人から嫌がられてしまうという危険性もあるのです。
何でもサラッと出来ればいいのですが…
やっている側は意外と気付かないモノです。
業務的な雰囲気や営業色が見えると、
相手も「何やコイツ?」的になってしまいます。
これでは本末転倒になりかねませんので、
第三者的視点を常に持って進めていきたいモノです。
勘違いをおこす
実は人間は大きな勘違いを起こしてしまいがちです。
その理由は、
「自分の価値観は、他人も同じように考える」
と言う事です。
冷静に考えるとあり得ない事なのですが…
意外と多い勘違いなんですね。
愛着があるモノを人に譲る時って、
自分では色々と説明しますが…
人にとってはあまり関係ない事なのです。
人間は「自分が常識的だと思い込みたい」
生き物だからです。
これはフォールス・コンセンサス効果と言います。
フォールス・コンセンサス効果について
アメリカでこんな実験がありました。
心理学者のロス氏が行った学生への実験です。
学生たちに対し、
胸と背中に広告を付けたサンドイッチマンとなって、
キャンパス中を歩き回ってくれないか?
と依頼しました。
OKをしてくれた学生と、
NOと断った学生に、
次のような質問をしたのです。
「別の学生に同じような依頼をしたら、
その人は依頼を受けてくれると思いますか?」
OKの学生6割が、
「OKすると思う」と答え、
NOと断った学生7割が
「断ると思う」と答えたのです。
これらは全て思い込みなのです。
保有効果と行動経済
保有効果を少し深く具体例を入れて、
行動経済記事を書かせて頂きました。
「得るは捨てるにあり」
と言う言葉があります。
今あるものを捨てないと、
次のものが入ってこない!
または…
人に言われた事においては、
間髪いれずに即座に行う!
実行=行動にうつす!
と言う事です。
保有効果は時として現状維持バイスアを発動させ、
新しいモノを取り入れられなくなってしまいます。
行動経済に繋げたのは、
断捨離をするべく時は思い切る事だからです。
そのコツとして、
現状維持バイアスを理解し、
ザイオンス効果や、
フォールス・コンセンサス効果を知ることで、
弱い自分に打ち克つことが大切であると感じたからです。
言葉遊びではなく、
人間心理の本質を知る事が、
コロナ禍でも愉しく過ごすコツになればと思うのです。