吉田誠(よしだ まこと)

博士(教育学)。ホワイトボード・ミーティング®認定講師。自我発達段階論に基づく道徳性発…

吉田誠(よしだ まこと)

博士(教育学)。ホワイトボード・ミーティング®認定講師。自我発達段階論に基づく道徳性発達研究の成果を活かして教員研修や道徳科の授業づくりの助言指導を行っています。また、大学の「教職論」の授業でファシリテーション技法を用いて教師を目指す学生の成長を支援しています。

最近の記事

チャッター克服までのプロセス

『「ちゃんとしなきゃ」から解放されて自分らしく成長する教師になる方法』を使った「教職論」の授業の受講者に毎回の授業で学んだこと、考えたことを書いてもらいました。そこからチャッターに関する記述を抜き出して時系列で並べてみると、本書をテキストとして用いてチャッターを克服するまでのプロセスがおおよそ六つに区分されることがわかってきました。 チャッターの自覚から克服に至る六段階 照合:テキストの自我発達段階毎のチャッターの記述との照合 言語化:チャッターを自分の言葉で表現 分

    • ピラミッド型からホラーキー(入れ子)型へ:発達段階の見方の変化に伴って教師と学校の役割も変わる

      これまで発達段階については、多くの場合、青年期までの発達過程で見られる特性が対応する年齢層とともに示され、ピラミッドのように上に積み重なっていって一番上で完成する形でイメージされてきました。 このイメージに基づいて教育について考えると、発達のピラミッドの頂点に立つ完成した存在である教師が未熟で能力の低い子どもたちを教え、導く形になります。教師が教え導く知識や技能をそのごとくに習得できる子どもたちは、より上の階層へと進んでいきますが、下の階層に取り残される子どもたちも多く生ま

      • 自分を責めるネガティブな心の声(チャッター)の連鎖

        チャッターとは イーサン・クロスの『Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』によれば、チャッターとは頭の中に浮かぶ思考や言葉のことです。 チャッターの内容の多くはネガティブなものです。しかも繰り返し頭の中で再生され、自分を責めたり否定したりすることでネガティブな思考や行動が生み出されやすくなってしまいます。 チャッターが出やすい場面は、例えば学校の先生で言えば、保護者参観の授業や公開授業など、外部の人々から

        • 『「ちゃんとしなきゃ」から解放されて自分らしく成長する教師になる方法』の特徴

          本書は、タイトルや表紙は簡単そうに見えるのですが、内容がこれまでにない見方・考え方になっているので、読み解くのに時間がかかります。この記事で本書の特徴を説明した上で、少しずつ新しい見方・考え方について解説していきたいと思います。 本書の特徴をまず4つ挙げてみます。 1.自分を責めるネガティブな心の声(チャッター)の連鎖の克服 本書では、教師や大人が子どもたちによかれと思って行っている指導が子どもたちに生涯にわたる悪影響をもたらしている問題(エデュケーショナル・マルトリー

        チャッター克服までのプロセス

          自己紹介

          私は、山形大学地域教育文化学部児童教育コースで道徳教育の研究をしながら教員養成の仕事をしています。 これまで15年間で十数名の小中学校の先生と行った道徳教育に関する共同研究の成果と、大学の「教職論」の授業で12年間で3000人以上の学生を指導しながらファシリテーションや成人発達理論などを取り入れながら六度にわたって行った授業改善の成果を結集した形で、2024年1月に本を出版しました。 この本を用いて新しい教員養成・研修の方法を開発していきたいと考えています。 noteで