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アダルトチルドレン・毒親サバイバーの方が自分らしい人生を取り戻すヒント#3「愛着スタイル」「禁止令」「人生態度」


前回の記事では、「なにが許せない気持ちを生み出しているのか?」をテーマに、「許せない」「許さない」という根深い思いが蓄積されやすい悩ましい親子関係のコミュニケーションとして10の典型的なケースを紹介しました。

そして、それらの根底には全て
・親が望む条件を満たした自分以外は受け止めてもらえないという感覚
・ありのままの自分とは違う役割を演じさせられる(背負わされる)感覚

から生じる、悔しさ、悲しさ、苦しさ、惨めさがあり、それらが入り混じって「許せない」「許さない」という気持ちを形成しているというお話をしました。

今回は、「愛着(アタッチメント)」という切り口から、「許せない」「許さない」という気持ちを掘り下げて見ていきたいと思います。

では、早速はじめていきましょう。


愛されていないと感じるのは愛情が不足しているから?


愛着(アタッチメント)とは「人と人との親密さ。情緒的な触れ合い。心理的な結びつき」という意味の言葉です。

例えば、赤ちゃんはお腹が空いたりオムツが汚れるなどして「不快」を感じると、泣くことで不快感を訴えます。するとその泣き声を聞いた親(養育者)は、ミルクをあげたり、オムツを交換するなどの「お世話」をすることで、赤ちゃんの「不快」を取り除いてあげます。

不快を感じる→助けを求める→タイムリーに世話をしてもらう→安心できる

こうした体験を日常的に繰り返しながら、赤ちゃんは自分の訴えを聞き入れ、優しく世話をしてくれながら不快を取り除き安心を与えてくれる「母親的な役割の人」を信頼していきます。こうして心の中に形成されていくのが「愛着」です。

では、たまたま親が忙しかったり機嫌が悪いなどして、うっかり子どもが傷つくようなことを言ったり、やったりした場合にはどうなるでしょうか?

その場合、親が子どもに理由を伝え謝罪するなどフォローすることで子どもの愛着形成に致命的な悪影響を与えることはないと言われています(ただし、普段の関係性が良好であるという前提はありますが)。

それと、「片想い」「過保護」という言葉があるように、愛情は一方通行で相手に与えることができるものと言えますが、愛着は双方向性が重要と言われています。

例えば、子どもが不安や寂しさなど、何らかのネガティブな気持ちを抱えたとき、子どもの仕草や表情から敏感に気持ちを汲み取って、ぎゅっと抱きしめて安心を与えてくれる。タイミング良く不快な状態を取り除いてく安心させてくれるなど、愛着は必要としているタイミングに、必要なものが、必要なだけ与えられることで育まれていくものと言えます。

このように、タイミングのズレは愛着形成に大きく関係しているため、「愛着が育まれていない=愛情不足」と短絡的には言えないということは、おさえておく必要があります。

こうして子どもの心の中に愛着が形成されていくと、それは「心の安全基地」として機能するようになり、何か不快なことがあって傷を負っても、安全基地で心を癒すことができるため、子どもは常に守られている環境を抜け出し、外の世界に臆することなく飛び出し自分の世界をどんどん広げることができます。ます。
※心の安全基地については、こちらのアダルトチルドレンの記事も参考にしてください。

また「心の安全基地」は、人間関係の中で、ここまでは許すけれど、これ以上は「侵入禁止」といった、自分と他者との領域を分ける境界の役割も担っています。

このように、かなり重要な役割を担っている愛着ですが、親(養育者)との間にどのような愛着が形成されたのかは、その後の対人関係の姿勢にも色濃く引き継がれることがあります。それを愛着スタイルと呼びます。

そこで次に、「愛着スタイル」「禁止令」「人生態度」について見ていきたいと思うのですが、その前に3つほど注意点があります。

愛着状態を振り返る上での注意点

1)生涯固定されるものではない
人は成長するに従って、外の世界から受ける影響はどんどん大きくなります。ですので、「愛着スタイル」「禁止令」「人生態度」は「自然と変化することもある」「意識的に変化させることもできる」という前提でお読みいただければと思います。

2)割合で考えてみる
例えば、後述する愛着スタイルで言えば「回避型3割、安定型2割、不安型5割」というように「割合」で捉えると、より客観的な自己分析ができると思います。

3)当てはまる特徴がある=親や養育環境が悪いと決めつけない
一つ目の注意点でもお話ししましたが、愛着形成は親や家庭以外からの影響もたくさん受けます。むしろ、成長するに従って外部からの影響の方が多くなっていきます。「親が悪い」「家庭環境が悪い」と決めてかかってしまうと、抱えている問題の本質を見誤ってしまい、抱える問題の解決が遠のいてしまうことがあります。

この3点に注意いただいた上で、あくまで

「ありたい未来のために過去から学ぶ」

といった未来志向で「愛着スタイル」「禁止令」「人生態度」について順番に見ていきたいと思います。

大人の愛着スタイルチェックリスト


ここでは、愛着スタイル毎に、3つの「特徴的な養育環境」と、12の「現在の自身の特徴」、計60個のチェックリストを挙げています。
過去の養育環境、それと今のご自身に当てはまるものにチェックを入れていくと、最終的に「ざっくりとした影響の割合」が見えてきます。

(※愛着診断については、本来、専門医師による成人用アタッチメント面接(AAI) によって、1時間程度の半構造化面接で実施するものです。ここではあくまでも「傾向」としてお考えください。)

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