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「ひま潰し」と「タイムイーター」の違い

全文無料です。
写真 : Thanks, strollingricky. 

・ことばの意味
1、ひま潰しは、なんとなく手持ちぶさたの時間があるときに、その時間を、待たされている感覚で苛立ったりせず、さらっと過ごせるよう、ちょっとしたことをしていることを言うだろう。テトリスをしたり、ネットをしたりなど。終わったあと、少しスッキリしていたりもする。

2、タイムイーターは言葉として似ているようだが違うことだ。たとえば、「この話いつまで聞かされるんだろう」が3時間ぐらい続いたり、本当はやりたいことがあったのに別のことに依存してしまったり、いわば、自分にとって時間の無駄で時間が過ぎてしまったりすることだと思われる。

ウィクショナリーにこうある。
タイムイーター 砕けた言い方で、活動または出来事、まさに時間を消費するものであり、たいていは時間の無駄のこと。
例、あのパーティーはタイムイーターだった。

time eater (informal) An activity or event that is very time-consuming and usually a waste of time.
The party was a time-eater. Wiktionary英語版。

すなわち、ひま潰しは、自ら無駄な時間や余裕ある時間などを有効に過ごすことであり、タイムイーターは、自他問わず意図せず時間を無駄や損失的に過ごしてしまうことである。

・意味の違い
1、自ら無駄な時間を潰すか。  有効  
2、無駄な時間になってしまうか。損失
おおきな違いだ。

・ケース・スタディ
こんな例はどうだろう。
福島に関して考えることは有意義である。しかし、風評被害の論争について考え過ぎたり、ネットで争ったりしすぎることは、タイムイーターになってしまうことがあるかもしれない、全てがそうではないだろうけれども。

なぜなら、風評被害の争いそれ自体で風評被害の争いを防ごうとしても、争いで争いを、言い換えれば、火に火または油を注ぐことになりがちな歴史があったり、むしろ風化していた風評被害を再発・増加させることのほうが確率は高いように思われるからだ*1。費やす労の割には益少なし。

たとえば、デマというマッチの火を撒き散らすことで売名になるデマ売名屋と、何度でも再燃してくれれば何度でもポンプで消せることで売名になるデマ叩き屋の区別は、もうマッチもポンプも、境目がなくなってきている点もあるかもしれない。あれから何年も経って繰り返しが来て、どちらにも得だからだ。しかしいつまでもでは、福島の将来にとって迷惑なことである。両者はこれから10~20年もこのままなのだろうか。

ただこうは言っても、わたしが嫌だなと思うデマは最近もあって、いわゆる側溝で眠るひとなどいない問題である。たとえば、県外から来て公共的な所や側溝などで比較的に高いと思う地点をガイガーで探り当て写真と地名つきでネットに晒して騒ぎまくること。いわゆるデジタルタトゥー問題の地域版だ。それは汚れだ云々を不必要に社会へ刷り込み固定化してしまい、地域全体への差別を助長する恐れがある。

そもそも、線量の計算は生活上の行動範囲全体の合計を見るから、地点地点が比較的に高くても過剰な問題は起きない。そこで眠るほどの時間を毎日で一生過ごすひとなどいないからである。しかもその高い低いはあたかも周囲と比べての基準に過ぎず実際には高いものではないのを高いと無理に喧伝している点でデマに近いと思われる。もう事故当初の数年間でもない。もし再除染の必要性があっても喧伝の必要性までは疑問だ。どうしてもやりたいなら、比較性のホットスポットは日本中どこにでもあるから県外の自宅付近ではどうか。少なくとも住民自治に過干渉では良くない。

という反論をわたしもときどきネットに呟いてしまったことがある。やはりデマを騒ぎ立てられると地元の者としては喜ばしくないからだ。ただそれでも具体的に誰それと争いで関わりたいとは思えない。ただでさえネットは疲れる。これ以上もうネットで争い焚き付けるのやめてほしい、精神的に疲れるようなことは御免だ、どうでもいいこと忘れて楽しい劇場で歩きたい、というのが正直なところなのである。

(話を戻そう。上記の末尾に付した「注釈*1」を端的に言うと、販売時に「放射性物質検査済み」とアピールしただけで逆効果だった件のことである。ましてやデマの話など言わずもがな。ひとには連想するチカラというものがあるからだろう)。

それよりも、興味深い福島や美味い福島の話のほうが圧倒的に楽しくて自他ともに爽快感であり、自然に全体の利益が増加して、かつ、ぶつかることがないため、敵も作らなくて済む。

具体的には、カタカナ書きフクシマという自分の県名の音や文字を言葉を忌んでしまうだけよりも、ウマイヨフクシマ*2というネットのハッシュタグを考え出してみなで美味い福島のグルメ写真の多数アップロードによりカタカナ書きフクシマ・イメージの向上がなされたこともあった。

すると、ネットでは「フクシマ」と検索したときに、福島に関するデマ暗い話題や写真よりも、ウマイヨフクシマの写真が先に上がってきたりし得る。これは、悪いイメージのフクシマと争いすぎて、むしろ悪いイメージのフクシマが有名になっていくこととは、対照的である。美味いフクシマ、ウマイヨフクシマ、特筆すべきことだろう。

まとめ
こうして、美味しくて嬉しいから食べものの話をしているのと、美味いものが理解されないことにいつまでもネットで争いすぎてタイムイーターにしてしまうことでは、雲泥の差がある。だから何でも放置すべきとかそういうことを言っているのではない。どちらが良い悪い正しい間違いの話ではない。ただ事実として、効果がまったく異なるのだ。

わたしの提案
そこで、タイムイーターと言っても、ポジティブ・タイムイーターとネガティブ・タイムイーターがあるという風に、自分はさらに考えを深めたものを提案したい。

つまり、ああ無駄にしたで終わるのではなく、「あれはあれで当時としては必要な時間経験だった、勉強になった」と考える。ひとを否定せず、ネガティブなことをポジティブにひっくり返していける主観的なチカラとして、ポジティブ・タイムイーターへの変換だ。

わたしは、福島のことを聞き学び感じることが世の中にとって本当の意味で有意義となり、人様世間様のひま潰しにでも充実した興味深い哲学的時間になれるような、そのよなものを書き綴っていければと、希望している。

なお、なぜ、ひま潰しという言葉を使うかだが、それは、なんでも深刻にとらえていこうとすることへのアンチテーゼであり、謙虚な反骨心であり、楽観的な精神からである。できるだけ、仕事という言い方でもいいが、「遊び」と言っていたいほうだからである。

余談だが、たい焼きに最近ハマっている。
時間も美味しく頂きタイものだ。

お読みいただけて感謝。
投げ銭サンクス。

注釈
参考1 『プロモーションの逆効果 風評被害を緩和するために福島県ではブランド回復などの取り組みが行われているが,その取り組みも注意が必要である.Wakamatsu and Miyata(2021)は,選択実験で宮城産カキと広島産カキの支払意思額を推定した.この研究では,選択実験の間に,「宮城産のカキはすべて放射性物質検査済で安全性が確保されている」という情報を与えた結果,この情報によって宮城産カキの支払意思額のみが大幅に減少した.』
(引用『福島県産水産物の風評被害と今後』若松宏樹・宮田 勉(環境経済・政策研究 Vol. 14, No. 2 (2021. 9)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/reeps/14/2/14_52/_pdf/-char/ja  ) 

参考2 これも全て書くと長いのだが、フクシマネトウヨという言葉をむかしわたしが造語したのを誰かが数年後にTwitterでネガティブな話題などと共にハッシュタグとして使いまくった。そこへの反動でポジティブなフクシマとして、フクシマネトウヨはフクシマウマイヨなのだというように、言葉のイメージを逆転させた行為として発生したもののようである。フクシマというカタカナのイメージもあの時だいぶ変わったことだっただろう。あまり物理的な争いでなく比較的スマートな方法だったとわたしは思う。

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