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命について

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#小説

彼の最期のレース、京阪杯が、彼女にとっても最後のレースに。

今でも鮮明に思い出す、彼、ファンタジストの勝った京王杯2歳を。友人と二人で行った、府中。二人とも彼の単勝を握りしめていた。ハナ差凌いだのが判った瞬間(とき)の興奮を、昨日のことの様に思い出す。あの時の2着が、彼女、アウィルアウェイだった。

彼は、突然、いなくなった。遠くへ。僕もいつかは行くであろう、遠いどこかへ。
あれは、ジャパンカップが終わった後、京都の12Rに彼が出るのをradikoで

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ファンタジスト、一周忌。彼がどうしても生きたかった、今日。

ファンタジスト。彼が京阪杯で競走中に亡くなってから今日で丁度、一周忌。彼が亡くなった日に、生きる希望だったJCの落選を知る。彼の命日に、彼の処へ旅立つ。そんな軽率で、美しくって、劇的(ドラマチック)な人生があって良い。なんて考え乍ら、彼に想いを馳せる。
そんな時だった。ふと、頭を過ったのは。
彼がどうしても生きたかった明日という日が続いて、一年が経ち、今日、今、そして今書いているこの瞬間が、

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ファンタジストを見に行って、ハナ差凌いだあの日

今日、2020年02月02日、アウィルアウェイがシルクロードステークスを勝ち、これが彼女にとって初重賞制覇となった。彼女の所為で胸に仕舞いかけていた想い出が、呼び起こされた。

2年前ー。京王杯2歳ステークスのその日、僕は東京競馬場に友人といた。彼、ファンタジストを見る為に。多くの人にとってはその季節にある、幾つかの2歳重賞の一つでしかなかったと思う。そしてそれは多くの人にとってはメインイベン

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忘れる頃

数年の月日を経た頃、彼の事はきっと皆の記憶から消えているのだろう。少なくとも、記憶に鮮明と残る一頭、ではないことは確か。それもそのはず、GⅠ勝利はない上、それどころか、3歳以降の勝利もない。主な勝ち鞍、京王杯2歳。今日はそんな一頭について紹介する。初めて僕の惚れた馬、ファンタジスト。

申し訳ない。まだ書けない。まだ彼について、競走馬としての馬生を終えた馬として何か書ける段階ではないみたいだ。

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