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【分冊版①】オランダ個人事業主ビザ取得の手順(2021年)

本稿は【完全版】オランダ個人事業主VISA取得の手順(2021年)の分冊版です。完全版を購入するのは躊躇するけれど、まずはお試しで読んでみたい、という方におすすめです。
分冊版①では、オランダ入国までの準備から、仮滞在許可証を取るところまでの手順を説明しています。

完全版はこちらです。



オランダは日本人にとっての移住のハードルが非常に低い先進国の一つです。Dutch-Japanese Trade Agreementというオランダと日本の間の特別協定があり、日本人であればほぼ100%個人事業主としてのVISAを取ることができます。また、個人事業主の配偶者には就労許可が付与され、企業のスポンサーなしで自由に働くことも可能です。

私たち家族(夫婦、子ども3人)は、上記の通称、個人事業主VISAを取得してのオランダ移住に向けて準備を進めてきて、この度、無事にVISA(滞在許可)が取得できました。

私たち自身、過去に移住されたブログを読み込み手続きを進めましたが、昨今の状況で手続きの内容や方法が昔とは大きく変更となっていることが多くあります。本記事は、2021年時点での最新情報として、これから個人事業主VISAでの移住を考えてらっしゃる方に対して「これを読めば業者に依頼しなくても自力でVISAを取得できるようになる」レベルの情報を提供することを目標としています。

個人事業主VISAの手続きは一見複雑なように思いますが、「IND(移民局)関連の手続き」「住民登録、会社登録関係の手続き」の2本の流れに整理して考えるとシンプルなものです。本稿ではそれらに分けて順序立てて説明してあります。また全体像を把握できるようにフローチャートの形でVISA取得までの流れをまとめています。
(A4サイズで作成していますので、プリンターがあれば印刷して各ステップの詳細と照らし合わせながら読み進めていただくと、より深く理解できます)

全体で12,000文字以上のボリュームとなりました。各申請に必要なものや目安のリードタイム、また申請書類の記入例(本人、家族)も実際の申請書類のpdfを用いて細かく記載しています。
ただし、同じように同じ時期に滞在許可の申請を始めても、担当者の都合、季節、運で手続きや期間、順序が変わってしまうことがあるのがオランダですので、想定外のことが起きた際にはフレキシブルな対応をお願いします。また本情報は2021年時点でのものであり、今後変更となる可能性があることはご了承ください。

オランダ個人事業主VISA取得の流れ:全体像

(noteをご購入いただくと、高解像度の画像とpdfがダウンロード可能となります)


①日本出国前(オランダ到着前)に必要なこと

A. IND(移民局)関係の手続き

A-1. アポスティーユ付き戸籍謄本の入手

通常の戸籍謄本だけでなく、アポスティーユ*付きのものが必要と言われています。本籍のある市役所で戸籍謄本を取得したのち、外務省にてアポスティーユが可能です。
*アポスティーユ: 日本の官公署,自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明

IND(移民局)、市役所への登録どちらも原本の提出はありませんでしたので、1通でカバーできるかと思いますが、不安であればIND向け、市役所向けとして合計2通取得していて良いかと思います。

私たちはUKから直接オランダに移住しました。意外と知られていませんが、海外在住でも行政書士に依頼すれば委任状も不要で戸籍謄本を取得することができます。私たちは「行政書士法人カットベル国際法務事務所」というところに戸籍謄本とアポスティーユの取得を依頼しました。ウェブサイトから依頼すると、すぐにメールが来て、ビデオ面談による本人確認ののち早急に対応してくれました。完成後の書類はDHLで送付してくれ、UKにいながらも依頼から2週間程度でアポスティーユ付きの戸籍謄本を入手できました。


A-2. 英文の残高証明書

私たちは求められませんでしたが、資金があるかどうかを確認するために、IND(移民局)での滞在許可証の申請プロセスの途中で、英文での銀行の残高証明書を求められることもあるようです。日本を出国後は対応が大変になるため、日本出国前に銀行から残高証明書を入手しておくのが良いかと思います。私たちも念のためUKの銀行に正式な残高証明書を発行してもらいました。(結局は一度も使用しませんでした。)

その他、日本にいるうちにしておいた方が良いこと:


・Wise (TransferWise)等の海外口座
後ほど記載しますが、滞在許可証の申請費用は、INDのオランダ口座への振り込みとなります。
オランダ口座への振り込みは通常、IBANという国際銀行番号を使って行いますので、Wise等でEU内の口座を持っておくと、そのままWise上で振り込みができます。(EU内だと手数料は28セント) また後ほど日本からお金を移すのも手数料が安くできます。注意事項は、日本の住所を登録している会員は最大で100万円相当(全通貨の合計金額)までしか口座に保管できないことです。

下記紹介リンクから口座を作成すると、500GBP (約75000円)までの国際送金手数料が無料になります。
https://wise.com/invite/i/yoshifumik5


日本のクレジットカード作成
クレジットヒストリーが出来るまでオランダ国内のクレジットカードを作ることはできません。またKindleやnoteなど一部のサービスでは日本で発行したクレジットカードしか使用することができませんので、日本のクレジットカードを残しておくのが吉です。私たちのおすすめは楽天カードです。年会費無料かつオンライン上で住所変更もできるため手軽です。(そして楽天ポイントが貯まったら、一時帰国の際に楽天で買い物をすることもできます。)

楽天カード
https://bit.ly/3Cz4IfO


②オランダ入国後の手続き

オランダに来てすぐにしておいた方が良いこと:


・電話番号
公共料金などの多くのサービスでオランダの電話番号が求められますので、いち早くオランダの電話番号を持っておく必要があります。アムステルダムのスキポール空港に到着後に空港でSimカードを購入することもできますし、T-mobileなどで事前に購入して、滞在先に送付しておくこともできます。(申込後2日程度で届きます)

https://www.t-mobile.nl/shop/product/prepaid-sim-only


・銀行口座
先進国としては珍しく、かなり多くの場所でクレジットカードやVISA/Mastercardなどのデビットカードが使用できません。唯一使えるのはMaestro対応のオランダ国内の銀行のカード(通称PINカード)という店舗が多くあります。(オランダの大手スーパーAlbert Heijnや、アジア系スーパーAmazing OrientalでもMaestroのみ対応です。またオランダの銀行口座を使ったiDEALという支払い方法がオランダでは一般的です)

一方、オランダの銀行口座を作るには、住民登録が必要で、住民登録には家の契約が必要で、家の公共料金の支払いにはオランダの銀行口座(NLから始まるIBAN)が必要な場合があり、、というループに陥ります。

オランダの各種銀行を検討した結果、bunqだと住民登録前でもオランダの銀行口座を持つことができることが分かりました。オンライン銀行で店舗はなく、本人確認なども日本のパスポートを使って、全てオンラインで完結しますし、オランダの住所も仮の滞在先でOKです。3ヶ月以内にオランダの住民情報(BSN)を提出する必要があります。BSN取得を待たずして、取り急ぎbunqの口座を作成しておくことをお勧めします。
(月々の口座手数料は€2.99から。1ヶ月間は無料です)

bunqリンク
https://bunq.app/invite/YoshiKoike

なお、N26も試してみました。日本のパスポートでドイツの銀行口座(ドイツのIBAN)を作成できましたが、オランダでの銀行口座は持てませんでした。N26を薦めているブログもありますので、こちらは申請方法により違いがあるかもしれません。

下記オランダに来てからの滞在許可証の手続きです。

A. IND(移民局)関係の手続き、B. 住民登録、会社登録関係の手続きに分けて記載しています。

A. IND(移民局)関係の手続き


A-3. Family Register Certificateの申請


滞在許可証の申請には下記の書類が必要ですので、これらの書類の作成をオランダの日本大使館にて申請します。

本人:Family Register Certificate
配偶者:Marriage Certificate
子ども:Birth Certificate

<必要書類>
(1) 証明書発給申請書(身分上の事項に関する証明)
(2) アポスティーユ付き戸籍謄本
(3) パスポート
(4) 手数料(1通につき€ 10*)
*2021年8月時点。手数料は書類の受け取り時に支払い。現金での支払いのみですが、お釣りは出ます。

大使館の中にスマホや他の電子機器は持ち込めないため、滞在先の住所や電話番号は紙にメモしておくことをお勧めします。
書類は約1週間で出来ます。

<場所>
Tobias Asserlaan, 2517 KC Den Haag
https://goo.gl/maps/BtiAnYKq8Q5qgvJDA


<関連ウェブサイト>
・在オランダ日本国大使館のウェブサイト

https://www.nl.emb-japan.go.jp/itpr_ja/r_shomei.html#mibun

・申請書類
https://www.nl.emb-japan.go.jp/files/100134552.pdf


A-4. Family Register Certificateのリーガライズ


在オランダ日本国大使館で作成してもらった書類をオランダ外務省にてリーガライズしてもらいます。窓口は9時から12時半までオープンしており、11時半までに書類を持っていけばすぐにリーガライズしてもらえます。在オランダ日本国大使館で朝に書類受け取り、外務省に出向くと1日で手続きが終わりスムーズです。

<必要書類>
(1) 上記、在オランダ日本国大使館で作成したFamily Register Certificate (Marriage Certificate、Birth Certificate)
(2) 手数料(1通につき€ 10)
*2021年8月時点。支払いには各種クレジットカードも使用できます。

<場所>
Consular Service Centre/legalisation desk (the Ministry of Foreign Affairs)
Rijnstraat 8, 2515 XP Den Haag
https://goo.gl/maps/bidd98aXpLHdcFzJ8


<関連ウェブサイト>
https://www.netherlandsworldwide.nl/living-working/legalisation-foreign-documents/legalisation-of-documents-issued-by-embassies-and-consulates-in-the-netherlands

https://www.government.nl/ministries/ministry-of-foreign-affairs/contact


A-5. 滞在許可証の申請書類の郵送

過去のブログを読むと、IND(移民局)で申請書類の提出をした例や、職員に記載方法を教えてもらった例、現地にて申請の予約を取った例などがありますが、昨今の環境変化で今は手続きが大きく変わっています。申請は郵送のみです。申請時にINDでの予約や訪問は不要です。無理やりINDに行っても予約も取れないし、申請も受け付けてくれません。

<必要書類>
(1) 申請書類
(2) 外務省にてリーガライズしたFamily Register Certificate (Marriage Certificate、Birth Certificate)のコピー
(3) パスポートのコピー

下記詳細です。

(1) 申請書類と実際のpdfを使用した記入例は記事購入後にこちらからダウンロードできます。
(日本発行のクレジットカードが無いなどの理由でnoteを利用できない方はこちらからどうぞ。https://yoshikoike.com/netherlands-visa2021/)


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