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★ゴルフコーチの経験から示唆される世の中に通底する4つの問題

僕が考える世の中一般に通底する問題は(現時点での認識では)4つある。

  1. 対症療法と根本治療(対症療法への傾倒)

  2. 情報過多問題

  3. 普遍的要素と個別特殊的要素(個別要素偏重)

  4. 定量評価と定性評価⇒別note参照 

これらを認識するきっかけとなったのは、複業のゴルフコーチでの経験であり、そこで経験したことが実は、より広く社会にも通じていることだな、
と思うようになった。 

定量評価と定性評価の問題については、note『ゴルフにまつわる数字や数値』で述べたので、ここでは上の1~3について書き残す。


1.対症療法と根本治療(対症療法への傾倒)

場当たり的な対処ではダメだ。もっと根本的に解決しないと

というのは、広く言われていることであり、新しい主張でも何でもない。だが、実際に多くの人が基本的には対症療法でやり過ごしている。

ゴルフを例にとると、『今求められる学習とは~「学習する組織」を読んで~』でも記載した通り、多くの人がボールを打った結果でスイングの良し悪しを判断しがちである。 

例えば、
「今のはいつになくまっすぐ遠くに飛んだ。しかも気持ちがよかった!これか。この感覚(打ち方が)正しい打ち方か!」
と思ったり、逆に、
「あぁ、ゴロになってしまった。今のはだめだ」
と考えたりする。

しかし、これはあくまでも打った結果という「現象」にとらわれた発想であり、「右に飛んだからダメで、その原因を考えて、対処する。」というのはまさに場当たり的な対処といえる。

 現象に着目して、その原因を分析し、対処法をやって、また結果(現象)を確認する、という仮説検証型アプローチは、一見すると正しい取り組みのように見えるが、実は(少なくともゴルフにおいては)そうではない。

その理由は2つある。
1つは、人間は機械ではないため、ある原因を特定したところで、そこを意識して改善しようとしたら、別の問題を引き起こす場合があるからだ。「こっちの杭を打てば、あっちの杭が出る」そんな感じだ。特に、特定した原因が些末であればあるほど、この問題は顕著になり、事態が一考に解決しない。この場合、より根底にある問題に対処することが重要である。

2つ目は、原因と結果の因果関係が判明する時間軸が、その人が考えているよりもよほど長いからである。たとえ根本原因に着手したとしても、その瞬間から100%問題が解決するわけではなく、短期的に改善が見えづらいことも多い。 すると、「あれ?この方法は効果がないのかな?」という不安に襲われ、根本治療に疑義が生じてそれを放棄してしまい、その結果、元の木阿弥(対症療法)に戻ってしまうのだ。

したがって、仮説検証型アプローチは大事なのではあるが、その時間軸は相当長くとって根気よく検証しなければならない。これがことのほか難しく「そもそも何が根本原因か?」ということの理解をも阻む。

一般アマチュアゴルファー業界において何が根本的な問題かについてのコンセンサスが未だに取れていないことも、驚くにはあたらない。

そして、このことは何も一般アマチュアゴルフ業界に限った話ではないだろう。ダイエット、資産形成、企業経営などなど、本屋にいけば一大コーナーを形成している分野(自己啓発系も当然含む)は、基本的には対症療法が蔓延している証拠だと思われる。

2.情報過多問題

次に情報過多の問題について。これについては、以前のnote『情報過多による混乱~隠れた社会課題』でも述べたことである。これは、1.対症療法と根本治療の問題が原因なのか、世の中には正しい情報(根本治療を提示する情報)が埋もれてしまっている。その結果、想像を超える不効率が生じている。

もしも、問題に対処する根本原因にコンセンサスが取れているのであれば、情報は氾濫しないはずである。1つの体系ですべて解決し、それが常識となれば、誰もが効率的に問題に対処できるようになるからだ。

だが、実際問題、世の中はこのようになっていない。

ゴルフにおいては、正しい方法(多くの方にとって効果を発揮する、再現性の高い方法)が埋もれてしまうことにより、多くの人がおのおの上達方法を模索する必要が生じ、不効率を強いられる。

その結果、「ゴルフをものにするには、トラック〇台分のボールを打ち込む必要がある」といったような、体育会系的/根性論的な意見がまかり通ったりする。

この点、

AirBnBの共同創業者の一人ブライアン・チェスキー氏のスタイルは、この情報過多問題と関連が深いと思われる。

チェスキー自身はその学習方法を「情報源に行くこと」と呼んでいる。あるトピックについて10人に話を聞き、すべてのアドバイスをまとめるのではなく、その半分の時間で一番確かな情報源を探り、誰よりもそのことに詳しい人をひとり見つけて、その人だけに話を聞く。「正しい情報源を見つけられたら、早送りで学習できる」とチェスキーは言う。

『Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法』
リー・ギャラガー著、日経BP

これは僕自身の経験からも共感できる内容である。

「いろんな人のいろんな意見を聞こう」は、ある場面においては正しいことは重々承知である。だが、ことゴルフに関しては、「あの人はこう言っていた。この人は逆にこう言っていた」という意見を集めたところでそのほとんどは対症療法のために生じる表面的な問題を論じたものな可能性が高いことを考えると、チェスキー氏の発言は真理をついていると考えている。 

3.普遍的要素と個別特殊的要素(個別要素偏重)

次に、物事の普遍的要素と個別特殊的要素について。

ゴルフでは「身長や体重はそれぞれ個体差がある。だから打ち方はひとそれぞれだ」という意見が割と大勢を占める。要は、「人それぞれ個別特殊的要素があるから、上達アプローチも変わる」という意見だ。

これも部分的には正しいかもしれないが、それだと物事の本質を見失うことになると思っている。

身長や体重(あるいはこれに柔軟性や体脂肪率を加えてもいい)というレベルまで特定してしまうと、確かに人それぞれである。だが、健常者なら基本的には同じ体の構造(骨は約200個、関節は約260個、筋肉は約600個など)をしているという意味では同じである。

「歩く」行為を例にとると、人である以上、普通は右足と左足を交互に出すだろう。右足→右足→両足といったケン、ケン、パッ的な歩き方はしない。

僕が言いたいのは、右足、左足、右足、左足…と、人は左右交互に歩くのと同じレベル(同様に、右足を前に出すときは左手を前に出す、逆はその逆、と同じレベル)で、だれが行おうとスイングには共通要素があるということだ。

そのうえで、歩く姿勢やリズム、歩幅やスピードが違うという意味で個性が出てくるものである。なのに「スイングは人それぞれ、教え方も人それぞれ」的な意見を聞くと、物事の本質を見失っているように思えてならない。
 

4.以上の3つの三位一体説

さて、以上3つの問題(論点?)を見てきたが、これらは実は相互に関連しており、物事の本質を取り違えることによるいわば三位一体の問題ともいえる。 

  • 本質を取り違え、対症療法に陥るから、情報が氾濫する(1が2を引き起こす)し、情報が氾濫すれば根本治療に関する情報(チェスキー氏でいうところの正しい情報源)が埋もれる(2が1を引き起こす)。

  • 本質を取り違え、個別特殊的な問題に着目すると打ち方は人それぞれ的になり、情報が氾濫する(3と2は本質的に同じ問題ともいえる)。

  • 本質を取り違え、場当たり的な対処に陥る(対症療法)と、ある方法はAさんには(短期的には)効果があり、Bさんには効果がないように思われ、「人それぞれ違うから教え方も変わる」となるし(1が3を引き起こす)、そういったある種の共通認識が、対症療法を助長する(3が1を引き起こす) 

逆に本質的要素にアプローチできれば、根本問題は解決するし、それはすなわち普遍的要素を取り上げた情報であるし、ゆえに情報は氾濫しない。

ここまで、基本的には一般アマチュアゴルファーに対して、実際に本質的なレッスンを提供することを通じて(本質的レッスンを施していると信じている!)実感した問題を取り上げたが、何も読者にゴルフの経験はなくとも、上述の通りダイエット、資産形成、企業経営、その他自己啓発関連情報などに置き換えられると感じるのではないだろうか。 

それはすなわち、世の中に通底しているものといえ、僕が複業ゴルフコーチを通じて獲得した自分なりのものの見方なのだ。

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