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【いちごる読書note】経済社会の学び方

『経済社会の学び方-健全な懐疑の目を養う』(猪木 武徳著)

この本との出会いは、ただただ近所の本屋さんで見かけて。

表紙裏の内容紹介文が、僕にとってはまさにその通りだったな、という本だったので、そのまま引用します。

私たちが暮らす経済社会―経済的な関係が深く染みこんだ社会とどうつき合うべきか。その仕組みを知り、そこで起こる問題解決のために必要なこととは。データの重要性と限界、理論の功罪、因果推論の効果と弱点から、人間心理を扱う難しさ、歴史に学ぶ意義と注意点、政治との距離感まで、経済社会について学ぶためのヒントに満ちた一冊。溢れる情報に「健全な懐疑の目」で接し、社会を少しでも良くしたい全ての人々へ。

『経済社会の学び方-健全な懐疑の目を養う』(猪木 武徳著) 内容紹介文より

◆いちごる的に興味深かった点

まずもって、紹介文の最後にある「社会を少しでも良くしたい全ての人々へ」というフレーズだが、こんな触れ込みにしたところでそれほど多くの人を惹き付けるものにはならないはずなのに、敢えてそう書いているところに逆に惹きつけられた。

何を隠そう、僕自身が「ゴルフを通じて豊かな人生を!(ゴルフ×well-being)」をテーマにパラレルワーク(副業ゴルフコーチ)を続けているし、これを通して「社会を少しでも良くしたい」と考えているから。

そんなイチゴルにとってヒントとなったのは、以下の点。

・因果推論にかかわる問題
社会研究において、因果関係を突き詰めるのはすごく困難だという話。社会研究ではないが、ゴルフコーチをやっていても、「ゴルフを上達するために必要なコト」を追求する上で、この因果関係を突き詰めることの難しさについて共感を覚える。

世の中で是とされているゴルフにまつわる因果関係(○○の原因は××)は、実は是ではなく、幻にすぎないのではないか、ということがイチゴルの素朴な世の中(のゴルフレッスン)に対する見方。

幻想にすぎない通説から多くの人が抜け出せない状況を端的に示した文章を以下に引用しておこう。

そしてゴルフレッスンをしていると、このことを痛切に感じることがままある。

われわれは、経験や既知の情報によって世界を詳しく、統一的に、そして実際以上に深く理解していると信じ込んでしまいがちだ。しかし実際は、溢れんばかりの情報をその上面だけに目をやりながら、単に情報を「消費」しているだけであって、物事の原理原則を必ずしも深く読み取っているわけではない。そして目にした情報をそれまで自分が持っていた情報に適合させているにすぎないことが多い。これこそヒュームが論じた蓋然的知識の因果推論である。主体とその行為の間の因果関係を事後的に理解するために、既知のアイディアや過去の思想や経験で物事を解釈してしまうのだ。

『経済社会の学び方-健全な懐疑の目を養う』(猪木 武徳著)p100-101

◆より深く学びたいと思った点

その他以下のような観点で経済社会を学ぶ(そして、それはまた他の物事を学ぶ)上で大切な視点を投げかけている。まだ、分かりやすく整理できないけれど、折に触れて読み返したい。

・事実と事実と考えられていること
事実とは何か、文学の意味など

・あいまいな心理は扱えるか
社会が変容するとき。クリティカルマスの話など。

・歴史に学ぶ意義・注意点
歴史を学ぶ重要性

また本書は、いろいろな観点で経済社会を捉えるその方法が示されているとともに、それを探求していくための読書案内的な内容でもあった。本書で引用されていた以下の本はどこかで読んでみたい。

『社会科学と因果分析-ウェーバーの方法論から知の現在へ-』
→因果推論の問題について

『ロビンソンクルーソー』
→「経済社会とは何か」を学ぶ入門書にもなるらしい。

『社会理論と社会構造』
→難しそうでかつ、ボリューム満点だが、いつかどこかで読んでみたい。「自己成就的予言」についてなど。

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