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【いちごる読書note】再読『イノベーションのDNA』~イノベーターへのはじめの一歩~

本業のほうでの執筆業務において、イノベーション人材について取り上げようと考え、久しぶりにクレイトン・クリステンセン著『イノベーションのDNA』を手に取った。

この本はもう2,3度は読んでいるが、改めて「はじめに」を読んでいても、あの感動が蘇る笑

以前、いちごる読書noteで取り上げたものの、「とにかく良い本だから、中身を読んで!」的なことしか書けていなかったので、もう少しきちっとこの本について取り上げよう。

以下では、イノベーティブな人材に変貌を遂げる大前提となる「もしかしたら自分にもできるかも」を気づかせてくれることが、この本の最も大きな意義だということについて述べる。


1.「イノベーション」についての世間のイメージ

 世の中で使われる「イノベーション」という言葉は、技術革新という意味合いで用いられていたり、もっと広範な「新しい価値の創出」という.意味合いだったり、小さな改善のことだったり、非連続な(破壊的)イノベーションのことだったりと、いろいろな意味で用いられているように感じる。こんなに多義的な言葉だから、例えば「今、日本企業に必要なこと」のようなテーマの政策系の議論でイノベーションという言葉が出てくる場合においても、それぞれの識者が異なる意味合いでその言葉を使っていて議論になっていないような印象を受ける。また、一方でそれが「一部の天才のみが考え付く斬新なアイディア」という印象を多くの方が持たれているようにも感じられ、したがって、多くの人は「自分にとっては、イノベーションとは無縁である」と考えてしまっているようだ。

この点、クリステンセン氏の『イノベーションのDNA』は、イノベーションが「もっと当たり前のもの」であることを気づかせてくれる。

いや、正確には「気づかせよう」としてくれているのだが、本当の意味でそう思えるかどうかは、実際に読んだ人がこれを実践して、「経験しなければ」気づくことはできないだろう。

それでは、どのようにこの本が気づかせようとしてくれていることを実際に「経験」できるのだろう。

2.この本を読む意義

このことは、この本を読む意義とも関連が深い。

この本を読んだ人が、すぐにイノベーションを起こすことができて、イノベーションを当たり前のように感じられるかというと、そうはならないと思う。

だけど、少なくとも、イノベーションは特別な才能を持つ人のみが起こせるものではなく、もっと「具体的な習慣(同書では「行動的スキル」と呼ばれる)」の積み重ねの上に成り立っていることを実際に目にする(=経験する)ことができるようになる。

例えば、イノベーティブな人の特性として、「人脈力」があげられている。これは、多くの人と交流し人脈を作っていることを言うが、重要なポイントがある。それは、一言に人脈といっても、「資源人脈」と「アイディア人脈」がある、という点である。

前者は、仕事上直接的に有益な人脈(例えば、知り合いになっておくことで、仕事を融通しあえる関係を求める場合など)で、後者は自身の専門領域外から事業アイディアを交換できるような人脈(故に、すぐにお金にはならない)のことを言う。

そして同書では、一般的な企業幹部は資源人脈を大事にするが、イノベータ気質のある人はアイディア人脈を大事にしている、と指摘している。

この観点一つとっても、僕の経験上、イノベーティブな人だなと思う人は、仕事に関係のある人よりも、仕事に直結しなさそうなまったく違う業界の人と会っているケースが多い。

また、経営者自伝を読む場合においても、この本の視点に立って読むと、やはり「同じ行動特性がある!」と納得できるし、この本で紹介されているスキルを偉人たちがどのように実践しているかの学びを得ることができる。

以上のとおり、この本で紹介されていることを通じて、

①周りにも以外と多くのイノベータがいるということに気づかされる(同書の内容を実感≒経験することができる)

②それにより、イノベーションがより身近に感じられる(*1)

③(経営者自伝を含め)人々の成功体験に触れる時に、これまでと違った視点で捉えることができ、イノベーションに必要な具体的なアクションをより多く学び取れる

④身近にいるイノベーターの存在に気付けることで、そういった方々の中に身を置くことで、新たな気づきを得られ、自分の中に存在していた企業家精神を発見できる可能性が高まる

などの変化を期待出来る。

これが、同書を読む意義であり、また同書の内容を「経験」し、本当の意味で理解することにつながるのだと思う。

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(*1)この「イノベーションが身近に感じられること」の意義は、思っている以上に重要なことだと考えている。「イノベーションはそもそも私には起こすことはできない」と思い込んでいるならば、クリステンセン氏のいうイノベーションのDNAの土台ともなるべき「変革マインド(変化を起こそうとする姿勢)」を欠くことになるからである。

この点は、「見えない枠」に関して記載した以下のnoteとも関連する。

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3.ココロに残ったフレーズ集

革新的なアイデアの多くは、たとえば採用応募者を選別するための新しいプロセスや、固定客を獲得するための方法のように、小さく思えるかもしれないが、貴重な新しいアイデアであることに変わりはない。

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他、翔泳社、p.55

⇒このような小さなイノベーションも視野に入れれば、「自分にもできるかも」と思う人が増えるのかも。ちなみに、僕はいま「固定客を獲得するための方法」を人脈力により得たアイディアをもとに構築中である。

ベゾスは上級役員などの採用面接で、「あなたが発明したものについて話してください」と必ずたずねる。そうやって発明好きな人材、言い換えれば自分に似た人を採用しようとしている

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他、翔泳社、p.59

⇒ベゾスに採用されるか否かはさておき、この質問自体に答えられるか否かが、イノベーターの道か否かを分けるものだと思われる。

大企業が破壊的イノベーションに失敗しがちなのは、発見力ではなく実行力で選ばれた人が経営陣を占めるからなのだ。そのため大組織の幹部のほとんどは、「発想の転換」をする方法がわからない。それは社内でも学べないし、ましてやビジネススクールで教わることでもない。ビジネススクールは、発見ではなく実行を教える場所だ。

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他、翔泳社、p.60

⇒イノベーティブな会社としてスタートした企業の多くは、実行力のある幹部に率いられて大企業に成長する。しかしこれが、次なる事業の種(イノベーション)が枯渇する要因にもなる。発見志向の人材と実行志向の人材という視点は、10年後20年後の会社の存続を考える上で重要だと思われる。

質問を変えれば世界を変えられる。カギは、世界を新鮮な目で見るために、つねによりよい質問を生み出し続けることだ。これができる人は、ポリオワクチンの開発に初めて成功したジョナス・ソーク博士の名言を地で行っている。「答えを考案するのではなく、適切な質問を問いかけることによって答えを明らかにする。なぜなら答えはすでに存在しているからだ」

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他、翔泳社、p115

⇒質問力の大切さ。答えはすでに存在している・・・イノベーターなら心当たりあるのかもしれない。

イノベータの旅は、1人であれ、誰かと一緒であれ、「人の歩まぬ道」を進むように感じられることも多い。それでもこの道には進む価値がある。なぜならあなたや多くの人の人生に大きな違いをもたらすかもしれないからだ。

『イノベーションのDNA』クレイトン・クリステンセン他、翔泳社、p.288

⇒これはもう、本当に大いに励まされる言葉。

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