読後感想「人を選ぶ技術」
面接での受け答えがよくて、モノも知っているし、経験してきたことを聞いてもなかなかおもしろいし、性格もいい感じだし、この人と一緒に仕事したい。
そう思って採用した人が、数ヶ月で辞めてしまったり、大変なときに「あらら、こういう人だったの」ということが、ときどきあります。もちろんそうじゃないときもあるのですが。
そういう状況に遭遇するに連れ、私には人を見る目があるのだろうか、ないのだろうか、たぶんなさそうなんだろうなあと思っておりました。
そんな矢先に書店に平積みされていたのが「人を選ぶ技術」でした。
タイトルに釘付けになり、思わず手に取り、パラパラとめくっていくとそこには「ぬぉおお!」と叫びそうな(書店なので心で叫びました)フレーズが山盛り。
まっさきに心に刺さったのは「優秀だけど有害な人を見つける」。
たぶんこのフレーズで「ああ~」と思う中間管理職以上の人は多いのではないでしょうか?
パフォーマンスは出すんだけど、組織や同僚の文句を表に裏に言い募ったりする人。
こういう人は短期的には成果を出すかもしれないけれど、長期的にはけっこう組織がきつくなる原因になります。
話は飛びますが、仕事柄コミュニティづくりにかかわることがあり、この「優秀だけど有害な人」はコミュニティクラッシャーと似ていると思います。コミュニティの立ち上げ時に中心的に献身的に関わってくれる振る舞いをするんだけど実は人やコミュニティを思ったように操るのが好きで、結果的にコミュニティを破壊していく。破壊したら次のターゲットコミュニティを見つけて入り込んでいく。過去に何回かこういう人に遭遇した記憶がフラッシュバックしました。
閑話休題。
読んでみた感想は「採用担当者、管理職、そして人と協働するすべての人に勧めたい」です。
人や組織のマネジメントに携わっているときに感じるモヤ?やオヤ?やアレ?が「ああ、そうだったのか~」と思えました。
「人を選ぶ技術」では、人を見る目がある/ないではなく、フレームワークに沿って相手を見ることで、誰でも「人を見る目」を身につけることができると謳っています。
そのフレームワークは第2章で紹介されています。
4階層で人を見るというものです。
表層的に見える経験、知識、スキル。
経験、知識、スキルを支えるコンピテンシー。
コンピテンシーの厳選となっているポテンシャル。
それらすべての原動力となっているソースオブエナジー。
このフレームワークに照らし合わせて、過去に面接したり、仕事で関わった人を思い返すと「ああ、だからそうなのか」と腑に落ちることが多々ありました。
この本でも解説されているように特に大事なのはポテンシャルとソースオブエナジー。
ポテンシャルは4つの構成要素に分けられ、なかでも好奇心が大切。コレハ肌感が理論的にも実証された感じがしてとても納得でした。
面白いなあと思う人って、好奇心が強いなあ、と。わかったふりをしない、わかりきった態度をとらない。「それで、それで」と聞いてきたり、自分で調べたり。そしてそれを楽しそうに話したり、自分なりに解釈をしたり。
”耳学問”という言葉があるように、本はあまり読まないけれど「この人はよくものを知ってるなあ」という人が、好奇心が強いんだなあと感じました。
そしてもう一つのソースオブエナジー。著者の提唱している人を見る切り口の一つです。
これを知ると「自分で動こうとしない人」の根底にあるものが垣間見えます。読む人によっては、ものすごく心にズシンと来るかもしれません。
後半ではこの4階層で人を見るための心構えやインタビューの仕方、レポーティングのまとめかたが書かれています。
この一冊を読んで人と出会う場面にいけば、相手の見るべきポイントを抑えられそうです。
ということで、企業の採用担当者や人と協働する場にかかわる人、すべてにおすすめ一冊です。
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