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マーケティングは農業

先日、講師を担当したマーケティング講座での冒頭のこと。

「マーケティングって聞くとどんなイメージですか?」の質問にいただいた回答に「怪しい」「何をやっているかわからない」「派手」など、ちょっぴりネガティブなお声をいただきました。

かくいう私もマーケティングに携わるまでのマーケター像は似たようなもので、肩からカーディガンかけて、抽象的な言葉と擬音で会話してて、ゴルフとお酒が仕事で「じゃ、よろしく!」といって去っていく人、というイメージでした。

それから四半世紀経って、マーケティングや経営戦略に携わってきて、「マーケティングって農業だ」としみじみ感じます。

ということでマーケティングは農業だと思う理由を書いてみます。

Stable Diffisionに私がイメージした”マーケター”で作ってもらった画像です

私が思う農業

私は農家さんでもないし、農業のことはよくわかっていないと思います。
よくわかっていないけれどもこんなイメージです。

土地を耕して豊かにして、そこに種や苗を植えて、雨風や日照など自然の影響を受けながら、植物を育て花が咲き、実がなって、収穫する。収穫した食べ物を生鮮のままだったり、加工して流通して、食べてくれる人に喜んでもらう。

マーケティングと農業が一緒だと思うこと

耕す=市場を作る準備

「土地を耕す」というのは、耕作に適していない土地に、これから作物を植えていく準備の段階です。

マーケティングに置き換えると市場を作っていく段階です。人は新しいもの、知らないものへの抵抗があるものです。だから、ゆっくりじっくりと、そして既存の認知から大きく外れないように準備を進めることが大切です。

種や苗を植える=製品開発

種や苗を植えるという行為は製品の開発と似ています。ここでいう開発はいきなり完成品を作るというよりも、ある程度製品化できる見込みがたったモノやサービスを市場に投げかけてみるという意味のほうが強いです。

もしくは形はないけれど、市場に投げかけられるコンセプトの段階でも同じだと言えます。

なにはともあれ、市場に自分からメッセージを投げかける段階と、植えるという行為が似ていると考えます。

自然の影響=市場環境の変化に適応する

土壌に合わせて植えたつもりの種や苗も、思ったように育たなかったり、思った以上に生育が早かったりすることがあります。

マーケティングも同じで最初に考えた戦略通りにことが運ぶほうが稀です。雑草を抜いたり、水をやったり、害虫から守ったりと植物を世話するように状況を観察し、製品の改良やプロモーションの仕方、対象とするお客さま像の更新などなど、手を打っていく必要があります。

このときに大切なのは、初期仮説をきれいに捨て去る勇気を持って、しっかり捨てされること。この点はむしろ農業のほうがマーケティングに比べて自然科学に近いので「ああすれば、こうなる」が明確だと思います。
マーケティングは社会科学なので「ああすれば、こうなる」はなく「ああすれば、こうなるかもしれない」くらいの分野です。
明日からこれまでの経験が無になるかもしれない。だから、いつも変化に気を配って、対応していくことが大切です。

花が咲き、実をつける=買っていただきたい人に知ってもらい、興味を持ってもらう

植物は花を咲かせて、ハチや蝶などの昆虫を招き、受粉を手伝ってもらって、実をつけます。

売りたい製品やサービスもある程度の規模になってきたら、買って欲しい人に伝播していって、買ってほしい人に興味をもっていただくことが大切です。

そのためにもどんな咲かせ方をしたら、花粉を運んでほしい人に来てもらって、その情報が伝わっていくのか?を考えることが大事です。

収穫する=マネタイズする

実が熟したり、大きくなったりして、適切なタイミングで収穫することで、それまでの手間暇かけた生育が報われます。

マーケティングもここまではコストを投下する存在です。収穫の段階、すなわち投下したコストに対して売上で現金化する、ここまできてやっと成果が現れます。

熟した実は見えていますか?

長々と書いてきましたが、即効性のあるマーケティング手法はないと思ってます。

ないといいつつ、”即効性のあるマーケティング”ができるケースとしては、目の前にある熟した実が見えていないときです。

コンサルティングでお手伝いをさせていただくとき、意外とこうしたケースが多いです。その原因としては市場創造の段階をご自身がよく把握されていなかったり、いきあたりばったりでビジネスを拡大してきたため、近視眼的になってしまっているということがあります。
たとえば「うちのお客さまはこういう人だ!」という不文律があるものの、売上が振るわなくなってきている。それで売上データと顧客データを紐付けて時系列で見てみると、お客さま像が変わってきていることに気づく。そして試しに新たなお客さま像に対してマーケティング施策を打ってみると、意外なくらいに”収穫”できる、といった感じです。

いま自分たちが行っていることを意識しましょう

大切なことは市場創造からマネタイズまでのプロセスのなかで、自分たちが何を目的に、何を行っているのか?を意識することです。

種をまいているのか?水を与えているのか?花が咲いているのか?枯れてしまったのか?実を収穫するタイミングなのか?

こうしたことを意識して組織の共通言語にし、みんなで市場という農場にベクトルをあわせて働きかけられることが理想と考えます。


この内容があなたのマーケティング活動のお役にたちますように。

それでは。

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