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パンみみ日記「30分で解散する飲み会」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


3月23日(土)
母校である大学へ向かう。友人が母校の大学院に入学することとなり、「キャンパスを案内してほしい」と頼まれていたのだ。

駅から大学への道のりを6年振りに歩き、街並みを眺める。飲食店はだいぶ変わってしまっているなあ。後輩にはじめてラーメンを奢ったあのお店も、試合後にみんなでジョッキを乾かしたあの居酒屋も、違う看板に塗り変わっている。

一方で、目につくお店も変わった。学生時代は古本屋なんて素通りしていたけど、今の自分のセンサーには反応する。

安すぎだよ

キャンパスに到着。なぜか思い出すのは、4年生の頃ではなく、入学直後の記憶。入学式のあと、たくさんのサークル勧誘に囲まれていた。色とりどりの看板を見ながら、大学生活が期待で彩られていく感覚がしたっけ。

友人との待ち合わせにまだ時間があるので、図書館へ向かった。卒業生でも、手続きをすれば入れるのだ。

学生時代はここを仮眠室としか思っていなかった。今となっては多少作家を知っているので、景色がガラリと違く見える。大学の図書館の蔵書量ってとんでもない。なぜ当時は活用していなかったんだ…!

当時から改装されており、館内がさまざまなゾーンに分けられていた。「quiet area」と「silent area」って何が違うんや?と思ったけれど、タイピングの可否ですみ分けされている。

これ考えた人すごい

その後は友人と合流し、キャンパスを散歩。当時の思い出の匂いが各所で嗅ぎとれる。英語のクラスで一緒になった女の子がバイトしてる弁当屋さんに、よく通ったっけ。

あの頃抱いた感情たちが、文字に残っていればいいのに。タイムマシンがあるのなら、当時の自分に日記を書かせるところから始めよう。


3月24日(日)
吉祥寺ZINEフェスティバルへ。詳しくはこちら。

最近、めちゃくちゃ文化寄りの人間になっていると感じる。しばらく前までは祭りに向けて踊り狂ったり、テニスの練習で真っ黒に焼けたりしてたんだけどね。

どっちの自分が好きかと言われると、むずかしー!文化も運動も目一杯楽しみたいよー!時間と機会が足りないよー!


3月25日(月)
会社でコイヌくん(癒やされる犬系の後輩)とランチ。彼とはよく「この品物はこのスーパーが安い」「最近見つけた節約術を聞かせてほしい」など、主夫のような話で盛り上がっている。

今日は趣向を変え、「いつもは最安値の品物を選ぶのに、これだけは高いものを買っちゃう」をテーマに議論。

ぼくはキムチだ。キムチは味と舌の相性が大切。適度な酸味や塩味がないとダメなので、値段よりもフィット感を重視する。

コイヌくんは激しく同意しており、「ぼくはその道のりを経て、自分で作るようになりました」と言った。相性のいいキムチがないなら、作ればいいじゃない、というクリエイター精神がくすぐられる。

そしてコイヌくんの「高くても買っちゃうもの」は、冷凍うどん。いつも食品は10円でも安い品物に手を出すのに、冷凍うどんだけは70円高いやつを買うらしい。

コイヌくんに宿る価値観の本質を覗き見た(大袈裟)。


3月28日(木)
他部署の先輩と同行。憧れの部署の大先輩とも繋いでくれて、本当にありがたい機会をいただいた。夢を叶えるために転職したという、日常で薄れゆく意識を取り戻させてくれた。

商談のあとは3人で居酒屋へ。「各々予定もあると思うので、30分だけにしましょう!」と大先輩。すかさずタイマーをセットする先輩。

タイムアタック飲み会は初めてだったのだけれど、むしろ清々しかった。各々勢いよくジョッキを傾け、今日の反省や仕事の未来を語る。

気持ちよくなってきたところでタイマーが鳴った。大先輩が潔く「時間ですね!解散しましょう!」と席を立つ。

こんな飲み会あるんだ…。ぼくにはすっごくフィットしていた。話したいことをチャチャっと吐き出しつつも、各々の時間も大切にする。

大先輩が帰り、先輩と2人きりに。新橋の駅前では、古本市が開催されていた。「寄っていきたいな」と思ったものの、職場の人に本のことを話すのは気が引ける。「えらいねぇ〜」と少し一線を引かれたような反応をされることがあるからだ。

すると、先輩が古本市を指さす。

「よさくさん、ちょっと寄ってもいいですか?」

同じ人類がいた。少し飛び跳ねるようにして、都心の中で光る本棚へ向かう。

ぼくは本が好きだということを、もっと人に伝えてもいいのかもしれない。

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