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パンみみ日記「架空の映画を知ったかぶりで語り合うゲーム」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


1月26日(金)
会社でランチ。同僚たちと「もし自分が権力者だとして、ウチの会社が入っているビルの1Fに好きなチェーン店を誘致できるとしたら?」というテーマで議論。

スタバ、大戸屋、マック、吉野家など各々の好みが反映された主張が飛び交う。

こんな話し合いをしているとき、ぼくは忠実に妄想をするのが好きだ。例えば「サイゼリアを入れたい」という意見があったのだけど、その場合は「ビル外からの若者でごった返し、落ち着けない空間になる」という想定も含めて議論を進めていきたい。

店選びには個性が出る。ここでどんな店名を発言するかで、人となりがわかる(気がするけどそんなことはない)。

ぼくは「ランチの強化をするより、おやつを充実させたい」という理由からミスドを候補として提出。

すると後輩が「私もミスドがいいです!ドーナツはもちろん、ラーメンなどしょっぱい系もおいしいです」と援護射撃をしてくれた。その瞬間、「ミスドを推すあたり、この子信頼できる」という親密度ゲージが急上昇した。

議論の末、「ラインナップ、テイクアウト有無、価格帯、ちょい飲み可否」といった観点から「日高屋」が総合優勝に。来週は「日高屋を上層部に納得してもらうにはどうプレゼンするか?」をテーマに語る予定。

今日もくだらないお昼を過ごした。


1月27日(土)
友人4人でボードゲームカフェへ。様々なゲームを楽しむ。中でも「知ったか映画研究家」というゲームが特に盛り上がった。ルールはいたってシンプル。

・カードとサイコロを使い、架空の映画のタイトルを決める。(例:『もぐもぐおばさん』『イケメン協定』)
・タイトルから妄想を膨らませ、それっぽいことを語る。語り終えたら他のプレイヤーに「ね!〇〇さん!」と話を振る。
・全員が話し終えたあと、最も心を動かす発言をしたプレイヤーに投票し、優勝を決める

ルールだけでもう楽しい。ぼくたちが評論することになった映画はこちら。

映画『火星猫』

各々の頭のなかから、あるはずのないストーリーをでっち上げる。「鳥肌が立ったシーンと言えば」「公式パンフレットに書いてあったんだけどさ」「考察のYouTube見て気がついたことがあって」と語り出していく。

結果的に、『火星猫』はこんな映画になった。

『火星猫』(2024)
・2XXX年。火星では猫が独自の生態系を築き上げ、暮らしていた。通称「火星猫」。火星猫は文明を発達させ、強大なる科学の力を有していた。

・火星猫は独自の進化を遂げたあまり、地球の猫を「人間に飼われた下等種族」と蔑んでいた。そう、星を跨いだ猫たちには大きな隔たりがあったのだ。

・平穏な生活を送っていた火星に、突然ミサイルが投下される。これは水星に住む犬たちが仕掛けたものだった。これを火蓋に、「火星猫」と「水星犬」の軍事戦争が始まる。

・武装に身を包み、出撃する火星猫たち。水星犬の攻撃は想定以上に激しく、火星は火の海に包まれた。

・苦戦した火星猫は、地球のマタタビーニャ博士に助けを求める。すると、衝撃の事実が明らかになった。火星猫は200年前に人間が火星に住むために実験的に送られた捨て猫だったのだ。「我々も元々は地球猫だった」。この事実が、火星猫の固定概念を覆した。

・火星猫と地球猫は同族として手を組み、水星犬に立ち向かった。共同戦線により戦況を覆し、火星を守ることに成功したのだ。

※2025年夏、同製作陣によるスピンオフ作品『水星犬』が公開予定

アホみたいな名作ができあがった。こういうくだらないゲーム、何歳になってもやりたい。


1月28日(日)
行きつけの喫茶店へ。マスターに「火の鳥読んだことある?読まなきゃダメだよ」と話しかけられる。

読んだことがない旨を伝えると、店の奥から漫画を持ってきてくれた。が、3巻だった。1巻は他の人に貸しているらしい。ありがたいけど、せめてもの1巻から読ませてほしい。

しばらくコーヒータイムを満喫し、お店を出ることに。マスターがいなくなっていたので、青年バイトに「これマスターに渡されたんですけど…」と『火の鳥』を差し出す。

「私が預かるので大丈夫です」

と青年バイトが爽やかに受け取った。はじめて会話したぜ…。話は広がらなかったけど…!

マダム店員がキッチンから「あの人、押し付けちゃってごめんなさいね」と微笑みかけてくれる。青年バイトの攻略法をそろそろ考えていきたい。

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