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漆のこと

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#私の仕事

卵殻蒔絵(らんかくまきえ)

卵殻蒔絵(らんかくまきえ)

卵の殻を粉末にして金銀粉同様に蒔絵を描く技術があります。
トップ画像は卵殻粉を漆で塗り固めた状態(左)と、それを木炭で研ぎ出した状態(右)です。

長い工程なので最初のほんの数秒だけ動画にしました。

よく見ると、白い卵殻粉が少しずつ黒漆の下から出てくるのが分かります。
とても時間の掛かる研ぎの作業です。

卵殻は江戸・明治期以降に漆藝材料として用いられるようになったとされる比較的新しい素材です。

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修繕の気付き -彫漆香炉台の話-

修繕の気付き -彫漆香炉台の話-

大陸調の香炉台で、四方には緻密な天人と龍があしらわれています。

最初は彫漆(堆朱や堆黒などの様に漆を塗り重ねた層を削る技法)かなと思っていましたが、よく見ると彫漆の部分と「木彫に漆を塗った部分」がありました。

部分的に金箔が見え隠れしており、寺院特有の油煙汚れではないかと伺っていましたが、こちらは理由は定かではありませんが、汚れではなく箔の上から「意図的に漆が塗られた」ものでした。

お直しを

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建国記念日によせて -義務教育で教わらない日本の伝統文化-

建国記念日によせて -義務教育で教わらない日本の伝統文化-

「良いものじゃないんだけど思い入れがあるし、漆で綺麗になりますか?」

とのことで、尺八奏者の方から1尺3寸管をお預かりしていました。

トップ画像は
漆塗り前(下)、漆塗り後(上)です。

濃いめの朱を下塗りし、溜塗り仕上げにしました。

益々良い音がなることでしょう!(笑)

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建国記念日が何の日なのか、疑問を抱いたのは大人

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