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修繕の気付き -彫漆香炉台の話-


大陸調の香炉台で、四方には緻密な天人と龍があしらわれています。

修繕前(上)と 修繕後(下)


最初は彫漆(堆朱や堆黒などの様に漆を塗り重ねた層を削る技法)かなと思っていましたが、よく見ると彫漆の部分と「木彫に漆を塗った部分」がありました。


部分的に金箔が見え隠れしており、寺院特有の油煙汚れではないかと伺っていましたが、こちらは理由は定かではありませんが、汚れではなく箔の上から「意図的に漆が塗られた」ものでした。


お直しをお預かりすると、数十年(場合によっては数百年)前の工人の意図や、前回の修繕跡から当時に想いを馳せることがあります。

見えないところまで丁寧な仕事をしているなと思ったり、はたまた時間が無かったか予算が無かったのかな…と思ったり(笑)



今回は割れと欠損部の成形、全体の掃除と艶出しを行っています。

無事、御本堂にお納め致しました。
近々法要が営まれるそうです。


#仏具
#漆
#骨董

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