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「おかしいわ。くらしがうまくいきすぎてるからといって、かなしんだり、まして腹を立てるなんて、おかしいわ。だけど、そうなんだからしかたないわね。―――(「ムーミンパパ海へいく」より」


ここ何日か本をほとんど読めていない。
胸の内側に何か嫌なものが張り付いてそこから離れようとしない…離れてくれないのではなく、自分が離そうとしないだけなのではないか…。今のわたしの心はやさぐれている。


怪獣くんの持病で昨日は大変だった。正確に言えば一昨日の夜から。とにかく生きた心地がしなかった。本人は旗から見れば普通に元気で何も心配ないように見える、くよくよしてるのはわたしだけ。自分のことはたいていは流してそれなりに生活できるけど、子どものこととなると、それは無理だった。「あんたがにこにこしてないと…!」と母に言われ、にこにこしてくれたのは母で、やっぱりわたしは笑えなかった。その日はパパとばばによくなついていた。怪獣くんはわかっていた。

容体は夕方には収まり、家族皆がほっとして、怪獣くんとわたしはご飯をもりもり食べた。朝から二人とも何も食べれていなかった。

自分の身体と心がちぐはぐになる時はどうしても生きることで精一杯だ。自分だけじゃない家族の生きることも考えなければいけない。それが辛いことや苦しいことのほうが多くても。
そんな時に少しの余裕で本が読めれが、どれだけ救われるだろうか、そんなことはわかっているけど出来ないのが人間なんだ。

最近はもっぱら紅茶派


最近読んでいた「ちいさな言葉たちの辞書」「その昔、N 市では」etc…は一旦中断せざるおえなかった。「ちいさな….」はほんとに良くて、今年の良かった本ベスト10に絶対入る作品で、でも、後半部分これからまた辛い出来事が待っているかもしれない…と思ったら、今は読めない、となってしまったのだ。心が落ち着いた今夜にでもじっくり読みたい。
やさぐれた心のままで読まれたのは「ムーミンパパ海へ行く」だった。ムーミンパパのやさぐれようはまるで自分を見ているようで、終始嫌なところをチクチクと突っついてくるようだった。

「だれだって、ときにはおこるほうがいいのよ。どんな小さなクニットだって、おこる権利はあるのよ。だけど、パパのおこりかたはいけないわ。パパはいかりを外へ出さないで、中におしこんじゃうんだもの」
  (「ムーミンパパ海へいく」p15より引用)


ミイの言ってることは的を得ていて、まるでわたしに言われてた言葉だった。
ミイがアリを灯油に浸し手殺してしまった時の一言も、凄まじい迫力。

「だって、アリって、蚊と同じようなものでしょ。だからアリをやっつけるのはいいことじゃないの。とっちにせよ、あんたはあんたがアリになにをするか、ちゃんとしっていたはずよ。あたいがそれを口に出さないことを、願ってただけだわ。あんたったら、ほんとに自分自身をだますのがじょうずね!」
(「ムーミンパパ海へいく」p143より引用)

...ごもっともです。



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