7,8月の短歌
強炭酸を飲み干してあの夏の青春取り戻した気になる
夏だから夜中にひとりコンビニにスイカバー買いにでかけてもいい
まわり道しても隣に君がいる 無駄じゃないって笑いとばせる
自分より背丈の高い向日葵がこわくなった君のいない夏
丁寧に西瓜の種を取り除く明日の平和を祈るみたいに
目が覚める夢のむこうに大切ななにかを忘れてる夏の朝
きみ眠る確実に目を覚ますから愛しいとおもえるその寝顔
熱揺れるアスファルトの向こう側もう会えないキミの幻
きょうもまた世界の終わりときみの幸せを同時に願ってる
右手あげ少しベタつく海風をうけてそのまま波になりたい
アパートのベランダから見る菊花火ビルで半分欠けても綺麗
冷凍の枝豆とかすその時間夏を感じる麦茶を注ぐ
予感して裸足で玄関あけたらスイカひと玉抱えてるキミ
読みかけの文庫に栞入れ忘れ永遠に終わらぬその世界
コンビニでもらったお釣り冷たくて生きてると実感する真夜中
鳩と鯉に餌やるとき穏やかな神様みたいになるあなた
庭先で線香花火に照らされるその横顔は聖母のようで
墓石に冷たい水をかけてやる たぶん祖父も喜んでいる
ふるさとのイオンになれぬジャスコの健気さがいつまでもすきです
いつの間に増えてたんだろそのほくろ 見つけたのってわたしが最初?
いつになく不機嫌なきみ濃いめのカルピスつくるから笑ってよ
夜の海 空との境界線がなくなるから星をとりにいく
この夏も云えなかった告白を海に沈めるように呟く
すくってもすくえなくてもひと夏の金魚の赤が鮮やかすぎる
熱々のプールサイド歩くから温くても許す市民プール
当たり前に麦茶沸かすきみのこと夏毎に好きが濃くなってる
頭キーンとならないかき氷食べに行ってエモくなりましょう
昨日から冷凍庫に眠ってるガツン、とみかん 夏が終わるね
リズムよく野菜を刻むその音は心地よくて少しだけ怖い
貸していた詩集に癖がついていてきみの心がよめた気がした
僕のこと見てないときのその瞳がすきだから他人のままで
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