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22卒、今になって「何者」を読む

 22卒NNT、日本社会に嫌気がさし、この時期に新幹線を乗り継いで実家に帰省した。そしてうららかな春の深夜、既卒就活も視野に入る今日この頃、実家の本棚の片隅にあったこの本を衝動的に手に取った。
 

 本当はこんなことしてる場合じゃない。でも「読むなら今しかない!」という衝動にかられて、実家の本棚を漁って読んだ。初めは就活を頑張る若者の姿を見て自分に鞭を打つつもりで読んでいたが、期待とは裏腹に作中の彼らの行動や心情はしみじみと温かく心に入ってきた。
 実は、この本を手に取るのは2回目だ。初めて読んだのは学部2年生。その時はインターン、シュウカツ、ナイテイ、と言った未知の言葉が怖すぎて、数ページで苦しくなって読めなかった。それか私も「何者」にもなれないことを彼らを通して自覚して、それを認めたくなかったからかもしれない。
 

でも、いわゆる就活生になって、未知の言葉だった「インターン」「内定」の内情や実態を理解してみると、作中で悪戦苦闘しているキャラクターになんだか親近感を覚えた。時にわかる、あるある、あ~、なんて思いながら読み進めた。あの時別世界から来た宇宙人のように思っていた「しゅうかつせい」は、なんてことはない血の通った人間で、大学生の延長にいる存在だったのだ。それに改めて気づかされた時だった。


私の周りにいたなんか意識高い系のアカウント作ってるあの子も、インターン行ってるあの子も、留学頓挫したあの子も、最近第一志望落ちたあの子も、生きてる、不器用ながらも生きているんだなあと思った。

思えば、こうやって小説を読むのは久しぶりだった。一番読んでいたのは小学生の時だ。あの日の自分にとって本を読むことは、違う価値観・体験を自分事に感じて、そこに一喜一憂することだった。ハリーポッターから図書館戦争から、実家にあった小説を片っ端から読んで、様々な世界観にあこがれた。近頃Kindle Unlimited のビジネス本ばかり読んでいた自分から見ると、若くて青臭くてなんのライフハックも得られない青春小説が新しかった。


本当に良い経験をした。10年来の親友にも伝えよう。とりあえず本の写真送って、文章をしたためて...

あ、既読ついた


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そうか~~~~~~

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