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変態的偏愛note

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また読みたくなっちゃう偏愛note
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#日記

何かに憧れずには生きていけないのかもしれない

何かに憧れずには生きていけないのかもしれない

チャイムの音で目覚める。なんだか胃が重くて、深夜にノリでカップラーメンを食べたことを思い出す。よろよろと扉をあけ、荷物を受け取る。ランコムのファンデーションだった。連休初頭、実家で夜な夜なインターネットで調べて注文したやつだ。母親に「早寝するほうがよっぽど美容にいいけどね」などと言われたが無視した。そりゃそうだけど、そういう問題じゃない。夜更かしして高価な化粧品をポチりたいときもあれば、カップラー

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まだ余生に達していない

まだ余生に達していない

昨日は土用の丑の日だったようだ。鰻はけっきょく食べなかった。アルバイト中に「お昼ごはんに何を食べた?」と聞かれたのでホットケーキ、と答えた。マヨネーズとバニラエッセンスが入った、カステラみたいに膨れたホットケーキ。

鰻、で思い出すお気に入りの短編小説を読み返した。江國香織の「清水夫妻」という小説だ。知らない人のお葬式に参列するのが趣味の清水夫妻は、参列後きまって鰻を食べる。遺産生活者の彼らには、

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日記 薄紅のまどろみ

日記 薄紅のまどろみ

「君といるとぐっすり眠れるよ」
初めて付き合った男の子、初めて寝た男、好きな人、あとは誰に言われただろうか。
自分と寝ていない時の彼らを知る術はないから本当か嘘かは分からない。そういった類の睦言なのかもしれないけれど、自分よりはやく眠りに落ちていく男の顔はいつも幸せそうで、そのまま死んでしまいそうで、ずるいと思う。

映画「イエスタデイ」を好きな人と観た。ビートルズが存在しない世界で唯一そのバンド

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タコ・カエル・ひとりの休日

タコ・カエル・ひとりの休日

「久しぶりだねいつ以来?」
ううん、今年の2月くらいじゃないかな?
「確認してみる…いや去年の10月だよ。」
え、そんなに。びっくり。時間の感覚がまるで狂ってる。
「二人目生まれたんだよ。目がおっきくて、イケメンでさ、我が子なのに見つめられると照れるんだよ…」

………
カフェに入って本を開いた。
一番後ろに指を差し込み、あとこれだけ…と残りページを指で測る。
ああ、まだこんなに。無理だよこんな。

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プラスチック・ラブ

プラスチック・ラブ

マイクロプラスチック問題によりストローはほとんどの店で撤去され、レジ袋は有料化が進んでいる。便利なものが安易に使えない世界になってしまった。環境問題や政治的意図に関して述べることはめんどくさい以外ないのだけれど、ストローに関しては少し悲しいなって。

むかし好きだったおんな。それはマクドナルドが本当に安くて学生の溜まり場になっていた頃のはなし。今ほどコーヒーが"映え"ない頃、私たちにとって恋人と会

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2020.3.27  毒と皿

2020.3.27  毒と皿

毒も食らわば皿までよと聞けば、毒も皿もおいしそうですねと思う。毒を盛られてもまず気づかないし、仮に気づいてもおいしければそりゃあ皿まで完食するだろう。私の皿にはおいしい毒、おいしい悪事をじゃんじゃん盛りつけてほしい。そもそも、毒と皿って字が並ぶとなんだかご馳走感がありませんか?「ドクトサラ」、きっとチラキレスの仲間に違いない。

          

もうすぐ好きな人と自分の間にある社会的な繋が

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フロム・オキナワ

フロム・オキナワ

去年の夏のはなしだ。
もうすぐお盆休みに入ろうというころのある日、仕事をおえて携帯をみると、しらない番号からの着信履歴があった。
なんだろう。まちがい電話かな、と思って放っておいたのだけれど、翌日もおなじ番号から着信履歴があって、さらにその翌々日には留守番電話も入っていた。もしかして、わたしが登録していない親戚とか、友達かもしれないな。と思って、留守番電話を聞いてみることにした。

あたらしいメ

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サマー・オブ・ラブ

サマー・オブ・ラブ

あっちぃー!と叫びながら小学生たちがプール道具のはいった袋をふりまわして駆けてゆく。夏だね。

近所のスポーツジムでは毎週土曜の朝がスイミングスクールのレッスン日と決まっているらしい。ジムの前を通り過ぎるとき、自動ドアの向こうからうっすらと漂ってくる塩素の匂いがすきだ。

もてあますような長期の休みなんてないくせに、夏になったらあれをしたいとかこれをしたいとか考えてしまう。そのくせ、夏はすぐ体調を

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