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遺留分減殺請求(10人目のAさん)

入院患者のAさんが困っているらしい。
病棟看護師から連絡を受け面談に向かいました。

Aさんは67歳、3年前に妻を亡くし一人暮らし。
面談すると最近眠れないとのこと。
眠剤も処方してもらいましたが眠れない。
心配事があるんですかと聞くと、封筒を出して話し出してくれました。
見せてもらうと、遺留分減殺請求の調停の呼び出しの文書。
3年前妻が亡くなったときの相続について、長男が納得がいっていないらしく、妻の預貯金を明らかにして、遺留分を払えというものでした。

遺留分とは、相続において兄弟姉妹以外の相続人に最低保障された相続分で、遺言書によっても侵害されない相続分です。
法定相続分の2分の1が遺留分として保障されます。

しかしAさんに聞くと、妻が亡くなったときにきちんと計算して渡しているので、問題になることはないはず、とのこと。
その時の記録はきっちりノートにまとめられていて見せてくれました。
預貯金を明らかにといわれても、なくなって3年もたってるので通帳も処分しているしどうしたらいいのか分からない。
相談できる人もいない。

といわれてもこちらもあきらかに必要知識を超えた問題。
こういう問題は私たちではどうしようもないです、といってもいい内容ですが、これが原因で眠れないということなので、何とかするほかありません。

法テラスに連絡し無料法律相談を予約し同行しました。
法テラスは各都道府県にある法的支援組織で、今までにも何度かお世話なったことがあります。
雰囲気はちょっとおしゃれなテラス風。
法を照らす、とテラス。
ちょっとおしゃれですね。

こちらの話を聞いた弁護士は、特に問題ないでしょうと言ってくれました。
Aさんの記録を見て、妻が亡くなったときに払った金額は、遺留分を侵害していない。だから銀行の履歴を取り寄せて、調停の時に説明しすればいいとのことです。
銀行の履歴は10年前まで発行してくれますが、時間がかかるようなら履歴取り寄せまで調停の延期を申し出ればいいらしいです。

Aさんはホッと安心。
気分もだいぶん楽になったようです。
調停の日を待たずに退院となったので、その後のことは分かりませんが、退院前には調停までは不安だ、と言っていました。
No letter is good newsかな?

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