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【第二の人生】69の章:視せられるのに助けられない葛藤

*登場人物*

  • 萬里→主婦だけどお役目持ってるんで、不思議体験しながら、イライラしながら、葛藤しながら修行中です。

  • H氏(おじじ)→リーマン能力者(本物)慣れているからなのか、通常の人間なら取り乱す出来事でもかなり冷静です。


うそ・・・、
そんなんありえん・・・。

H氏「私は日常的にそんな様子を視せられ
その子らの生涯を追っています。」

萬里「なんで!
どこかも分からん場所で助けられもせんのに
そんな残酷な映像視せられるんですか!?
助けられないなら、
意味がないじゃないですか!!!」

H氏「それは男の子が、
『助けて!僕はここに居るよ!まだ生きてるよ!』
というシグナル(念)を四方八方に
飛ばしているのを萬里ちゃんがキャッチした、
というだけのことなんです。」

萬里「あ~!もう!!!
じゃあどげんすればよかとですか?!
助けられんとなら視えんでよか!!!」

この日から視せられる事に対する
理不尽さに怒りが沸き立つ。

そして助けられないもどかしさでイライラする。

H氏「萬里ちゃん、私たちはこういう事も
日常茶飯事なんですよ。
必ず助けられるとは限らないし、
視えた聞こえた感じ取れた中で
自分にできる事をやるしかないんです。」

萬里「意味が分からん!
中途半端やし助けられんなら
こんな能力いりません!」

H氏「私もずっと寄り添って男の子を視てます。
脈と呼吸が聞こえているのでまだ生きてます。
でもあの状況では
そんなに長くはもたないと思いますが・・・。」

萬里「じゃあ、私たちにできる事って
一体何なんですか?」

H氏「あの景色を見て、
その場所がどこか見当つけられる可能性がある
その近辺の私たちのような人達に
念を飛ばし続ける事です。
それをキャッチした人が探し
助けてくれる事を祈ることです。」

萬里「はぁ。
そんなことしかできないんですか・・・。」

H氏「これでも大事な事なんですよ。
『もしかしたら誰かが気付いてくれるかもしれない』
そんな想いで男の子も念を飛ばしているんですから、
私たちもそうする以外に方法は無いんです。」

「わかりました。」とは言ったものの、
何一つ納得できない。

助ける為に視せられるわけではない
『なんで!?』
そればかり考える。

脈や鼓動が消えかけた時には
教えてほしいとH氏にお願いした。

H氏「萬里ちゃんもその時は分かるはずです。」

萬里「どうやって?なんで分かるんですか?
また悲惨な映像を視なければならないんですか?」

H氏「今萬里ちゃんの周りで漂う下水の臭いは
あの子が感じている臭いです。
生きているから臭いがわかる、
息絶えた時にはこの臭いがなくなるはずです・・・。」

萬里は毎日ニュースを隅々まで観た。
もしかしたら、あの子は誰かに
見つけてもらって助けてもらえたかもしれない。

毎日チェックした、
だけど一向にニュースには
それらしき事件は何も出ない。

萬里の周辺から臭いが消えた。

6日くらい経った頃だった。

それからしばらく
ニュースのチェックは欠かさなかった。
だけど、いつまで経っても遺体が発見されたとか
それらしきニュースはなかった。

この件以降、
しばらくお布団の中で映像を
視ることはなくなった。

ちいさんの身体を借りての供養は続いている
一方的に話しかけてる感じだけど、
ちいさんの身体に手を当てると
頭の中に映像が広がるようになった。

そして少しずつ、視えた映像の違いが
分かるようにもなってきた。

光が射すときは
受け取る側の萬里が視た映像、
闇の時は
死人が彷徨い訴えてくるときの送り手側の映像。

少しなりとも訳が分かってくれば
H氏に聞かずに自分なりに解釈もできる。

それが正解かどうかは分からないんだけど
ただ一つ思うのは、このままだと
H氏に尋ねる回数は減っても、
ちいさんが居なければ萬里はいつまで経っても
何もできない人間じゃないんか?!

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