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途上国ベンチャーで働いてみた(バングラデシュ編)

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この記事は、2019-2021年の間にバングラデシュ(ダッカ市)にてとあるヘルスケアベンチャー事業の立ち上げに奮闘した30代女性の記録として書かれたものです。 (すべての内容は個…
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#コロナ

途上国ベンチャーで働いてみた:PCR検査ビジネス戦国時代(通算360日目)

途上国ベンチャーで働いてみた:PCR検査ビジネス戦国時代(通算360日目)

2020年7月、人口2億人近くを擁するバングラデシュ共和国内のコロナ陽性患者は一日5000人程度に押さえられていたが、政府系検査機関が無料で提供するPCR検査は供給量に制限があり、有症状者のみに検査受診枠を絞ってもなお、検査予約から検査実施までに一週間の待ち時間があるといわれている状況であったことから、感染者数の実態は誰にも把握できない環境だった(一週間も待っている間に治るよねっていう…)。

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途上国ベンチャーで働いてみた:コロナ対応病床を確保せよ(通算330日目)

途上国ベンチャーで働いてみた:コロナ対応病床を確保せよ(通算330日目)

2020年6月に入る頃、私たちはto B営業に精を出していた。職場向けの衛生管理コンサルタント事業を始め、各所にEメールやSNSマーケを通じてPRを続けるうちに、少しずつ企業からの前向きな反応が得られるようになってきていた。

とはいえ、そもそも現地社員の中で営業トークができるメンバーは一人しかおらず、営業資料の作り方からコールドコールのスクリプトまで、私から日本人の若手駐在社員に伝え、それをもと

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途上国ベンチャーで働いてみた:ピボット模索(通算290日目)

途上国ベンチャーで働いてみた:ピボット模索(通算290日目)

2020年4月の半ば、コロナ感染の拡大を恐れたバングラ政府は交通規制も伴う全面的都市封鎖(ロックダウン)に踏み切った。
バスが動かないとなっては職員をクリニック兼オフィスに来させる足もない。事態は健康診断の需要など起こるわけもない状況であり、事業そのものの危機でもあった。

社員全員を在宅勤務に切り替えると同時に、新しいサービスを2つ立ち上げることにした。
一つ目は遠隔問診事業。これまで単価の低い

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途上国ベンチャーで働いてみた:コロナとボイコット(通算270日目)

途上国ベンチャーで働いてみた:コロナとボイコット(通算270日目)

2020年4月には、バングラ現地の人々の間にもコロナに対する恐怖が拡がりつつあった。3末から始まった不要不急の外出禁止、医療機関や市民生活を維持するための最低限の機能以外は店舗閉鎖とする措置、いわゆるロックダウンは、恐怖と同時に人びとの生活を直撃した。

社内で初めに仕事をボイコットし始めたのは、まさかの医者たちだった。ある朝、始業時間になっても医者の一人が出社してこない。診察(健康診断の結果説明

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途上国ベンチャーで働いてみた:コロナと国境封鎖(通算250日目)

途上国ベンチャーで働いてみた:コロナと国境封鎖(通算250日目)

2020年3月末。コロナが思っていたよりヤバいものらしい、、という声が年明けから日本でも大きくなりつつあったが、ついにバングラの国際便が全面休航になるというニュースが飛び込んできた。つまり、国境封鎖である。

ちょうどその頃、現地では日本人のインターン女子学生を一人受け入れており、そのニュースを聞いた翌々日の朝には日本に戻れる飛行機の最終便が出るとのことだったので、事は急を要した。
私や正社員の男

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