広告の「!」はウザいのに、仕事だとよく使ってしまう不思議
コピーライターとして広告に使う言葉を考えていると、「!」を書く場面があります。そう、びっくりマーク。これは俗称で、正式には「感嘆符」や「エクスクラメーションマーク(exclamation mark)」と言います。
ドラッグストアの店頭POPやWebサイト、ポスターやチラシなどさまざまなところで使われています。
お客さんに振り向いてほしい、気づいてほしい、そんな気持ちが込められている広告の「!」。
だから、たいていウザいのです。こんなふうに。
アピールがすごい、というよりうるさい。「!」はわかりやすくて使いやすいため繰り返してしまいがち。それでウザさが急上昇してしまうのです。
でも、ふだんウザいな〜と思っている「!」も、仕事だとよく使っていませんか?
広告の「!」をウザいと思っているのに、仕事で「!」を使うのはなぜか
わたしはメールやチャットでやりとりする時に、こんな文章をひんぱんに目にします。
4連チャンはさすがに多いですが、2連チャンくらいならそれこそ毎日見ます。
こうした「!」連チャン傾向は、リモートワークが一般化し、テキストによるコミュニケーションが増えたことで強まっている気がしています。
近くに相手がいない、相手の表情が見えないことが多くなり、気持ちが伝わっていないのではないかと不安になるからだと思います。文章に気持ちを「上乗せ」しようとしているのです。
では、みなさんはこの2つの文章どちらを「気持ちがこもっている」と感じるでしょうか?
もちろん、前後の文脈などで印象は変わってきますが、なんとなく「。」だと落ち着いていて、「!」だとテンションが高く見えます。
どちらも「ありがとうございました」があるのだから、感謝の気持ちを表現している。つまり内容は同じです。
それでも、「。」は気持ちが見えない=気持ちがない、「!」は気持ちが見える=気持ちがある、と感じる人がいる。そういう人はおそらく、仕事上の文章で「!」をよく使っているのではないでしょうか。
「。」は冷たくて、「!」は温かい?
以前、Twitterで「!」は若い人にとって一種の“敬語”なのではないかと言っている人がいて、なるほどと思いました。
さらに興味深い意見があって、それは「。」で終わると怒っているように感じるというもの。社内の1年目のコピーライターに聞いたところ、「。」は冷たい感じがして「!」があると安心すると言っていました。だから「!」を使って、文章の体温を上げているというわけですね。
ただ、これは個人差があります。「。」で終わるとなんだか物足りなくて「!」のほうが感情がこもっているように感じる、というのは最近の肌感覚ではないでしょうか。
相手や関係性によっては、「!」連チャンのメールやチャットの文面を見て(みなさんが「!」連発の広告を見た時と同じように)「うるさい」と感じたり、「落ち着きがない」という印象を持ったりする可能性もあると思います。
「!」はうまく使おう
ふだん仕事でつくる広告にも、やたらと「!」が出てきてしまうことがあり、そんな時はここぞ、という1つを残してあとは取ります。
広告で「!」を使うのはお客さんの目をひき、商品やサービスに興味を持ってもらうためですが、何度も「!」が出てくると本来のアテンション(気づき)を越えて「ウザい」ものになってしまい、逆効果だからです。
仕事においても、「!」が多用された文章では読み疲れしてしまう人がいるかもしれません。それに「!」でいくら感情をこめたとしても、文章がめちゃくちゃだと伝えたいことも伝わりません。
テキストによるコミニュケーションがうまくいくかどうかは、文章の読みやすさで決まります。「!」がクセになっている人は、そもそも自分の文章は読みやすいのかどうか、一度チェックしてみるといいかもしれません。
文:シノ
ここまで読んでいただきありがとうございました。スキやフォロー、コメントお待ちしています。
スキ(♡)を押してくださると励みになります!