見出し画像

引きこもりが、友達と10年ぶりに10分間だけ再会してきた

こんにちは、より子です。


長らく会えていなかった友達と
10年ぶりの再会を果たしました。
再会時間は10分間!!!


たった10分だけど、彼女との思い出や今の自分について
ブワーッと感情が溢れ出してきて
この気持ちを「忘れたくないなあ」と思い
書き残しておきたくなった。


✎︎______________



彼女と初めて会ったのは成田空港だった。


大学2年生だった私は、スタディーツアーに参加するために
大きなバックパックを背負って東京行きの夜行バスに一人、乗り込んだ。

スタディーツアーというのは
観光メインの海外旅行とは違って、現地の人たちと交流したりボランティアとして一緒に働いたり。
昔あったテレビ番組『世界ウルルン滞在記』をイメージしてもらえるとわかりやすいかな?
いろんな種類のスタディーツアーがあるけど
私が参加したのは、まさに『世界ウルルン滞在記』みたいな
現地のお宅にホームステイをして生活にガッツリ入り込むタイプのツアーだった。


当時の私は、なんていうか『なにかが足りない』と常に思っていて
それは物心ついたときからずっと抱えていた焦燥感みたいなもので。
思い返せば、足りないモノを埋めるためには『行動するしかない』と一番ジタバタしてた時期だったなあ。


友達と観光ツアーで何度か海外旅行をして
「外国おもしろいー!アジア好きだー!」
という気持ちが高まった結果、

観光メインじゃない海外を体験してみたい!


と思うようになった。
とはいえ、女で小柄で体力も微妙で英語がまったく喋れない私がバックパッカーになるのは無理。
ハードル高すぎ。
小心者なので不安だし怖かったし。

そこで見つけたのが『スタディーツアー』。


私が参加したスタディーツアーは空港集合、空港解散、参加者は基本的に一人で参加する人がほとんど、とのこと。

見知らぬ人たちと一緒に見知らぬ海外の人たちと共に生活する。
「面白そう!」
ただそれだけの理由で頑張ってバイトしてお金を貯めて、友達にバックパックと寝袋を借りて
8月上旬のまあまあ暑い日に東京行きの夜行バスに乗り込んだ。

あの頃の私は元気だった。
好奇心がいくらでも湧いてきて、行動力も実行力もあって
なんか…なんか…すごく元気だった!笑
ほんとうに嘘みたいに元気だった。
でもそれは、『足りないもの』を埋めるための必死さゆえの、振り絞るようなエネルギーだったのだと
今になって振り返れば、わかる。

でも、あの痛々しいくらいの必死さが
私をあの場所に導いてくれたのだから
人生ってうまくできてるな、とも思ったりもする。


成田空港で、全員が「ハジメマシテ」の状態で自己紹介をした。
参加者は15人くらいだったかな?
その中に彼女は居た。


第一印象は
『老若男女、誰とでも打ち解けることができそうな元気な子』
あとは『メンタル安定してそう』。
この第一印象は当たっていたと思うし
今でもそう思ってる。


「それ、どこにあるん?」
と何人もの友達に訊かれたくらいマイナーなアジアのとある国。
直通便の飛行機がないのでトランジットを経て
10時間以上かけて辿り着いた国。

飛行機から降り立ったその地は、日本とは明らかに違う空気や温度、匂いがした。
自分に『足りない』なにかを埋めることができるかもしれない。
好奇心に火がついてワクワクが止まらなかったことを、あの匂いと共に今でも覚えてる。

約一ヶ月、その国に滞在した。
首都から遠く離れた
電気もガスも水道もない、山の上の小さな村。
その村でホームステイしたときのペアが彼女だった。

滞在した村!今はどうなってるんだろう?変わってるんだろうな


いろんなことがあった一ヶ月だった。
楽しいことも嬉しいことも。
悲しいことも悔しいことも。
いろんな意味で人生の転機となった旅だった。
そんな旅の中、彼女はいつも私の側に居てくれた。

旅の終わり、成田空港でお別れするときに彼女がくれた手紙に書かれていた言葉を
今でも折に触れて思い出す。

『強そうに見えて実は弱い。弱そうに見えて実は強い。そんなよりちゃんが大好き』

ここから見える景色が好きで、ホームステイ先の末っ子ちゃんと何度も散歩した



そこから、ゆるやかな付き合いが始まった。
住んでいる場所が離れていたこともあって、会う機会は少なかったけど
やっぱり一緒に暮らしたことがあるって、なんていうか大きい出来事だよね。
友達というより、もはや遠い親戚みたいな感覚。


最後に会ったのは10年ほど前。
私が旅行ついでに彼女の家に立ち寄ったのが最後だと思う。

会えない10年の間、彼女は夢だった仕事で経験を積み、結婚して子どもを産み、家を建てて
着々と堅実に『生活』を営んでいった。

私はといえば、自分に合う仕事を見つけたくて派遣でいろんな会社を転々としたり、好きなことにうつつを抜かしたり、貧乏一人暮らしを楽しんだり、見知らぬ外国人と突如ルームシェアすることになったり。
デタラメな生活してたなあ。
思いつきで就職して、うつ病が再発したりもして。

まったく違う人生を歩んでる。

でも、ゆるい繋がりは切れなかった。
10年会ってなくても、数年連絡を取ってなくても
「旅行でそっちのほう行くけど、会えそうなら会おうよー!」
と気軽に言い合える、そんな友達。


正直、迷った。
体調は絶不調だし、今の私は一人で電車に乗ることすらできない。
体調が悪くて在宅で細々と仕事してることは以前から伝えていたけど
うつ病のこととか、詳しいことは話してないし。
会う約束をしたとして、当日「やっぱり体調が無理」となる確率が高すぎた。


でも、会いたかった。
彼女にも、彼女の子どもたちにも。


会いたい。けど無理かも。
せっかくの旅行なのに迷惑かけるかも。
「今回は諦めよう」
という結論に99%ほど傾いていたけど
どうしても「会いたい」が消えなかった。


で、10分だけ会うことにした。


今の私が動けるギリギリの範囲内で、『友達と子どもたちに会う』という目的を達成するために考え抜いた結果、そうなった。

■駅までは家族に車で送ってもらって、そのまま待機しておいてもらう。
■駅の改札で友達と子どもたちに会って、お土産と手紙を渡す。
■子どもたちと互いに自己紹介し合う。
■みんなで写真を撮る。
■友達が行きたがっていた観光スポットの方向に案内する。
■再会を誓ってハグ。
■私は駅構内から出ずに、そこでバイバイする。
■そして、私は駅の駐車場で待機してくれていた家族の車に乗り込み帰宅。

これが再会時間10分の内訳。

今の私にできる、友達に会う限界ギリギリのプランは

大成功!!!


たった10分だけど
自分の現状を把握して、可能な限りのリスクを排除して
楽しい気持ちで会える時間が今の私には10分だっただけ。
それだけの話だ。

そう思えるようになっている自分に
少し驚いたりもして。


「会えるの10分くらいになりそうだけど、いい?」
事前にLINEで尋ねたら
「よりちゃんに会えるだけで嬉しい。でも無理しないでねー」
と返してくれた。

嬉しかった。

彼女の子どもたちは可愛くて可愛くて、もっと遊びたかったけど
今は我慢。
改札を出て、私を見つけた友達が大きく手を振りながら
「よりちゃ~ん!」
と少し鼻にかかった声で名前を呼んでくれたとき

あの村での日々とか、今の自分とか
いろんな感情が込み上げてきた。


「また会おうね」
最後はハグをしてお別れした。


たった10分間だけど
すごく良い10分間だったなあ。
ありがとうね。
連絡をくれた友達にも、あの日スタディーツアーに参加することを決めて実行した自分にも、そう言いたい。
ありがとう。

そう思えた、いい再会だったな。
また会いたいね。
そう思える友達がいることが嬉しい。
それが過去の自分の行動によって得られたものだということも
嬉しい。

村での滞在最終日に友達と一緒に見た日の出!また見たいなあ


ありがとう。
次は15分くらいは会えるようになってるといいな。
みたいなゆるい目標を設定して
毎日を粛々と積み重ねて生きていこう。


改めてそう思えた、夏の一コマでした。







この記事が参加している募集

夏の思い出

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?