体の状態をリアルタイムで見える化する
体を鍛えよう、あるいは健康のために運動をしようと励んでも、どの程度の強度で、どれくらいやれば良いのかいまいちよく分からない。
もちろん、筋トレ週3回とか、ウオーキング1時間程度とか色々目安として言われる。
しかし、言われるような基準に基づいてやったとしても、果たして効果が出ているのか、有効な鍛錬をしているのか定かではない。
これらは、数ヶ月、あるいは数年やって初めて違いが目に見えるようになることが殆どだ。
仮に、数ヶ月後、数年後に効果が確認できたとしても、途中の個々のトレーニンが、果たしてどの程度有効で効率的であったのかは、よく分からない。
これが、何かのトレーニングをしたら、ほぼリアルタイムで体にどのような影響を与えているのか、体がどのように変化しているのかが分かったとしたら、どうだろう。
トレーニングを最適化できるのはもちろん、トレーニングを継続すること自体が格段に容易になると思う。
そんないいものがあるのか。
あった!
血糖値の計測という限定的なものではあるが、あった。
これだ。
下の写真のセンサーを上腕の裏に貼り付けておくと、24時間毎分計測し、15分毎に血糖値(正確には間質液中のブルコース値)を記録してくれ、それを8時間保存してくれる。
その正確性は、平均絶対的相対的差異(MARD)11.4%とか。
(これは指先穿刺による血糖自己測定(SMBG)との比較)
つまり、正確だと言うことらしい。(らしいと言うのは私は、平均絶対的相対的差異という概念を正確に把握していないから。)
そのデータは、スマホ(専用の無料アプリがある)や、専用のリーダーで読み取ることができるし、読み取ったデータはスマホや専用リーダーに保存できる。
なおかつ、クラウドに保存でき、そこから1日の数値の変化はもちろん、週間、月間の変化のグラフ等も見ることができるというしろものだ。
この装置を使うようになったのは、あずみのさんの記事を読んだから。あずみのさんには、使うに際して注意事項をいろいろ教えていただいた。
これは、ハマる。
何を食べたら血糖値が上がるか、どんな運動をしたら血糖値が下がり、どんな運動の仕方をすると反対に血糖値が上がるか、ほぼリアルタイムでわかる。
ほぼというのは、データが間質液中のグルコース値だからだ。これに対して、血糖値というのは、血管内のグルコース値のこと。
図を見ての通り、血管からグルコースが間質液に移動するわけだが、この移動には、5分から10分ほどかかるという。
だから、計器のデータは、血糖値の少なくとも5分前の値だと言える。そういう意味では、厳密にはリアルタイムではない。
しかしながら、この程度のタイムラグは、気にしなくていいだろう。
何かを食べたら、あるいは何かの運動をしたら、血糖値がどういう変化をしだすかが、その5分後から具体的な数値としてわかる。
これは、すごい。
自分の体が、食べ物や運動に対して、どう反応しているのかが、具体的にわかる。つまり、目に見えるようになる。
私は従来、血糖値の管理は、HbA1cという値でしてきた。
これは、血中のヘモグロビンにどれだけの量のグルコースが付着しているかを示すものだ。
ヘモグロビンに一旦付着した糖は、ヘモグロビンの寿命まで(120日)取れない。
だから、HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映し、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けないというので、医者はこの値を見て、血糖値の高低を判断している。
しかし、逆に言えば、これは直近1〜2ヶ月の平均的な体の状態を表しているので、個々の食べ物や運動がどう影響したか分からない。
自分としては、1ヶ月間良いと言われた食事をするようにした、1ヶ月良かろうと思う運動に励んだ、その結果がどうだったかがわかるに過ぎない。
あくまでも、いいと言われた食事、良かろうと思った運動をやったに過ぎない。たとえ効果が出ても、その原因が食事なのか、運動なのか、あるいは食事の何なのか、どの運動が影響しているのか分からないのだ。
これは、悪くいえば闇雲だ。
この辺りじゃないか、この程度じゃないか、まあやってみるかだ。要するに適当(悪い意味で)だ。
これでは、血糖値のコントロールに失敗する。
具体的には、饅頭一個くらいは、ケーキ一個くらいは、缶コーヒー1缶くらいは、チョコ一切れくらいはいいかな、運動も今日はこの程度でやめておこうかなとなる。
結果は、一月後HbA1cの値として表れる。
尚且つ問題なのは、HbA1cの値というのは、6.0とか7.3とかあまり大きな変動がない。
例えば、6.0から7.3になったというのは、えらい増えたのだが、見た目は高々1.3の増加なので、ことの重大性がピンとこないのだ。
しかし、血糖値が110から250に上がったらどうか。
いや〜、これ、やばいんじゃないと思うだろう。
これがリアルタイムでわかる、となるとどうだろう。
それに、いいというもの、あるいは悪いというものが、必ずしも自分に合っていないということもある。
医者の言うことは、いわゆるガイドラインに沿ったことだ。
必ずしも、個々の患者に最適なことを言っているわけではないと思った方がいい。
だって、5分くらいで、検査結果を見、話を聞いてそれぞれ個性がある複雑な人間の状態を完全に把握し、最適な処方ができると思う方がどうかしている。
特に運動が体にどのような影響を与えるかわかっていないと思う。
K先生と話していた時、先生が「医者でアスリートはいないだろう。運動が体にどんな影響を与えるか、実は医者はつい最近まで研究してこなかったんだよ。」とおっしゃっていた。
そうだと思う。
血糖値を下げるには、歩くといい。それも汗ばむ程度でいいと言われる。
しかし、この言い方だと汗ばむ程度でもいい、つまり本当は強度を上げた運動のほうがもっといいのだが、にも聞こえる。
いや、汗ばむ程度でなければいけないのだ、と言うべきだろう。私の実験では、あまり強度を上げすぎるとかえって血糖値は上がる。
とまれ、体のことは自分のことだ。
誰も、医者さえも責任を持ってくれないし、持てない。
自分の体は自分で何とかするしかない。
特に、真人間はそうだ。
極論すれば、世間も医者も真人間を半ば見放していると思う。老化=朽ちるのが当たり前で、せいぜいそれを遅らせることができれば御の字という感じだと思う。
やり方によっては、若い時と同じ、あるいはそれ以上の体力を持つことができるというのが、私の取る立場だ。
まあ、それはいい。
とにかく、血糖値をコントロールしたいと思ったら、このセンサーは極めて有効なツールになる。
ところで、ここで使い方についての注意。
初めて使うと、センサーの値を見て驚く。
しかし、気にしないでいいと思う。
少なくとも、最初の1月ほどは、ひたすらどんな状態の時に、どう体が反応するのか、分かれば良い。
どんな食べ物が、どの程度で、どの時間帯に食べたら、どうなる。どんな運動をどの程度、どの時間帯にしたら、どう体に影響があるか。あるいは、精神状態が影響を与えるかどうか。(意外と影響があるように思う。)
こうやっていると、大体全貌がわかってくる。
そうすれば、対応策も考えられるようになる。
ついでに言うと、センサー値はスマホで読み取れ、グラフ表示等もできるので、リーダーがなくても事足りる。
ただ、運動の途中で頻繁に計測するとなると、ちょっと面倒かもしれない。
スマホのロックを解除し、アプリを起動し、それから計測すると言う手順が必要になるからだ。
これを歩きながらやるのは、面倒と言えば面倒だ。
そんな時は、ボタンひとつで計測できるのでやはりリーダーがあると便利だ。
リーダーは単体でも売っているが、センサーとセットの方が少し割安感があるので、それを買うといいだろう。